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NPOやソーシャルビジネスの創業・経営・マネジメント

有機農業で世界を変える/藤田和芳

ソーシャルビジネスの考え方

・融資を受けることで会社の姿勢が利益を生むことのみに傾くことを恐れた。

・市民団体は理念を高く掲げることができるが、政府や起業を攻撃しがちになり、実際の社会から乖離しかねない。株式会社は生活の現場には対応できるが、利益や経済合理性を追いがちになる。
・ソーシャルビジネスは社会を構成する人あるいは組織が互いに手を取り合うこと。Co(ともに)、With(いっしょに)などつなぐ発想。
・具体的にいまと違う暮らしのモデルをつくり、そのモデルを小さくとも事業として成功させていくこと。
 
フェアトレードのあり方
・フェアトレードでコーヒーをそのまま買い続けることは、換金作物を買い続けることであり、彼らが現在置かれている状況を固定化してしまうのでは。
・フィリピンではいままの田畑をつぶし、換金作物であるさとうきびをつくった。はじめはアメリカが優先的に買い続けていたが、それをやめた結果、価格が暴落。いくつもの村、ネグロス島などで餓死が発生するほどのものになった。
 

 

有機農業で世界を変えるーダイコン一本からの「社会的企業」宣言

有機農業で世界を変えるーダイコン一本からの「社会的企業」宣言

 

 

途上国の人々との話し方/和田信明・中田豊一

 「朝ごはんはなにが好きですか」 好み・感情

「朝ごはんはいつも何を食べますか」 思い込み・考え・意見
「朝ごはんは今日はなにを食べましたか」 事実
 
Where, When, What, Who 事実を聞く
How 事実を聞く場合もあれば、考えを聞くことも
Why 考えを聞く
→ Where, Whenを特定できれば事実とみなされる
 
○事実質問
心得
1.セルフエスティームが上がるような話題をみつける
2.事実質問に徹する。人は自分に関心を持って事実を聞いてくる者にこそ心を開く
3.提案しない、助言しない、信じて待つ
4.考えさせるな、思い出させろ
5.相手が簡潔に、かつ心理的にも抵抗なく答えられる質問をする。相手の立場に立って考える
 
基本的な質問
いつ、どこで、なに、だれ、などのように単純な疑問視を使って質問する
「~をしたことがあるか」経験を尋ねる、「~を知っているか」知識を尋ねる、「~があるか」存在や何かの有無を尋ねる
 
具体的な流れ
1.セルフエスティームが上がるようなエントリーポイントをみつける=道具をほめる 信頼関係を築く
2.相手の課題が上がってきたら、課題を整理する=それは本当に問題なのか
 ①一番最近その課題が起こった(顕在化した)のはいつか
 ②それがどこでか
 ③どのように誰が困ったか
 ④今までどんな対処をしてきたか
 ⑤それが一番最初に起こった時のことを覚えているか、いつ、どこで
 *「本当にそれは問題ですか」と聞いてはいけない
3.解決方法を探る
 ①類似の課題を以前に解決した経験を思い出してもらう
 ②身近な他者の類似体験に学ぶ
 
ポイント
・知りたいことをそのまま聞かずに、簡単な事実質問を組み立てて、具体的かつ詳細に聞いていく
・ある方向に話をもっていって先に進めなくなったときは、後戻りして再出発できる話題(リカバリーポイント)を対話の途中で設定しておく
 
練習
1.いま、私がしようとしている質問は、「事実」「考え・意見」「感情」のどれなのかを意識しながらやり取りする。他者からの質問や他者同士の会話も同様の観点で観察する
2.身の回りの「もの」を取り上げ、30個の質問をつくる。まず、質問をつくり、その回答も考える。
3.家族、友人にお願いして、インタビューする。エントリーポイントしての「もの」から「これは何ですか」などで入り、さまざまな事実質問をつなげていく
4.具体的に解決したい課題や相談で実践する
 
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プロジェクトの5つのステージ
1.パートナーの構築
2.コミュニティに基づいた課題の分析
3.行動計画づくり (Action PLan)
4.事業の実施とモニター
5.評価とフィードバック
 
貧困の正体と近代化のコンテキスト
・企業が村に入ると、ライフスタイルと生活様式の変化が進む。それにつれて、伝統的な2つのセーフティーネット、相互扶助と自然資源の両者が衰退し始める。その変化に対応できたものはよいが、対応できないものはセーフティーネットを失い、貧困状態になる。
・現金収入の必要性が高まることで生活様式が変わり、セーフティーネットが崩壊することの間には強い相関関係、必然性が存在し、それがある程度進んだところで村人の貧困化が起こる。
・仕事を求め都市に行き仕事があればよいが、なければスラムの住民になるしかない。
 
コミュニティでトレーニングしないといけないこと
・資源をマネージする能力=資源についての知識
・経済を発展させる能力=資源を活用する能力
・ガバナンスにかかわる能力=資源の利用をいかに住民が制度的に支えていくか
 
トレーニングの内容
①これまでの知識、技術を言語化し、すべてのステークホルダーで共有すること
②その結果を踏まえて、新たな知識を導入すること
 
ファシリテーターの役割
プロジェクトの節目節目にその内容をほかの人たちと共有してもらう。そうすることで、参加者は自分の知識の過不足を知り、もっと知りたいからトレーニングしてくれという欲求がでる。このサイクルを生み出すこと。
 
 
・収入向上事業は一つの国というくくりでみると、どの地方でもどの村でも一様に同じメニューをやっていることが多い。しかし、この事業はプロジェクトが終了すると、継続されない。なぜなら、受益者のもともとの経済活動よりも儲からないから
・マイクロクレジットの最大の利点は、その日暮らしの人々のキャッシュフローを助けること
・どこのスラムや農村に行こうが、援助慣れした人々と相対するのは確実。彼らの存在なしでは、こちらの商売にならないことも彼らは知っている。
・ボトムラインは老人であり女性である
・予算こそを作らないと、村人のオーナーシップはありえない
・住民参加型のプロジェクトでお互いにパートナーになれる資格ができるのは、プロジェクトの最後だ。住民が移転されるべき知識や技術を身につけたとき。
途上国の人々との話し方―国際協力メタファシリテーションの手法

途上国の人々との話し方―国際協力メタファシリテーションの手法

 

 

地域再生の罠/久繁哲之介

 ・地域再生の施策は提供者側の中高年男性だけで策定されることが常で、都市の魅力や問題点を発見するためには、消費者側、つまり市民の、とりわけ若者や助成の行動や会話に五感を傾ける必要がある。

・成功事例集とは提供者の目線から事例を選び、そのよい点だけを記述して成功だと賞賛するプロパガンダかコマーシャルである。例えば、月に1度しか集まらないイベント。
・行政や専門家は新しい施策を考えるときに、ほかの地区が追随したくなるようなモデル地区として前例化することを目論む場合が少なくない。自分たちの施策が広がるかどうかはモデル地区の成否にかかるから。つまり、施策の提供者はモデル地区を成功事例と言ってもらえないと困る。
・その上、模倣が簡単なモデルに各自治体の取り組みが集中し、表層的な模倣の再生策が乱立する。
・商店街の外装をレトロっぽく魅せるハコモノの改築やデザインは一度限りの観光客を呼びこむには有効だが、リピートにはつながらない。
・西欧では政策的に、水辺やストリートなどの公共空間にカフェを出店するのを促すなどしている。
・西欧人がコンパクトな環境に住むことは、彼らのライフスタイルを実現し、幸せになることにコンパクトシティの本質がある。例えば、イタリアでは、ランチを友人と2、3時間ゆっくり摂るなど。
・市民が主役となって顧客の心を捉えるソフト事業を地域再生の核に据え、土建学者や自治体が上流に関与しない地域は活性化している。
 
鹿児島などがまだうまくいっている理由
・大型商業施設への依存が低く、大都市への憧れも弱い。
・地域愛が高く、他都市の模倣を好まない。
・市民は交流目的での飲食店利用が多く、それが飲食店の利益と街のにぎわいにつながっている。
 
施策ポイント
・車優先空間から人優先空間へ
・出店者一人にリスクを押し付けず、市民が安心して・連携して出店できる仕組みをつくる
・店舗個別の穴埋めをする発想をあらため、地域一帯の魅力を創造することを考える
・商店街の位置づけをモノを売る場から交流・憩いの場へと変える
地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)

地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)

 

 

最新地域再生マニュアル/山浦晴男

 

寄りあいワークショップ

地域再生には地域の中に伝統と創造を担う2つの歯車の組織が必要だ。

NPOが地域に溶け込めない理由は、いずれの地域にも挨拶がないまま地域に入ってしまったことだ。
小さく産んで大きく育てる、あるいは一点突破全面戦略の戦法で、地域にある伝統的な価値あるものに着目する。
内発力の熟成が、これからの地域振興の基盤整備であり、最初に必要とされる整備事業の中味である。
住民・行政・NPO協働で進める 最新 地域再生マニュアル

住民・行政・NPO協働で進める 最新 地域再生マニュアル

 

 

人を助けて仕事を創る/山本繁

 ・社会的課題へのアプローチは、代替(うまくいっていないものを置き換える)、補完(うまくいっていないところを補う)、強化(より強くする)

・さらに、それらのアプローチを、対象の課題にぶつかる前、直前直後、その後、と時系列で考える
・予防かセーフティーネットか
・測定可能な成果目標を持つ(複数でも可)
人を助けて仕事を創る 社会起業家の教科書

人を助けて仕事を創る 社会起業家の教科書

  • 作者: 山本繁
  • 出版社/メーカー: ティー・オーエンタテインメント
  • 発売日: 2010/06/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ソーシャル・イノベーション/服部篤子

 ・ソーシャル・イノベーションとは不均衡な状態を打破する。

・そのパフォーマンスは、当事者を取り巻く自分たちがどこまで遠く自分たちを連れ出せるのか、その想像力にかかっている。
 
財団の役割
・チャリティではなく、フィランソロピーに焦点を絞るべき
・進行中のプログラムより、新しく革新的なプログラムの支援を優先するべき
・唯一の出身源になるより、資金獲得のための呼び水役に徹するべき
・すでに評価が定着しているものより、よいアイディアを試し、それを本格的に始動させていくための実験的なプロジェクトに助成するべき
 
CSR
・生活者の共感が得られるCSR活動を考えるのであれば、生活者のどの側面に働きかけようとしているのか/どの側面に働きかけないのかを十分に検討する
・ハイブリッドカーはユーザーも当事者であるところの環境負荷の具体的な解決手法を提供している。または店頭での簡易包装。ユーザが当事者である課題に解決手法を提供していると解釈できる。つまり、社会的な意義と生活者の個人満足を意志とは関係なく一致させる仕組みをつくればよい。
・NPO、NGOの協働を目指す企業の担当者がNPOの業界経験者であれば、NPOの事情をよく知った上で交渉することができる
ソーシャル・イノベーション―営利と非営利を超えて

ソーシャル・イノベーション―営利と非営利を超えて

  • 作者: 服部篤子,武藤清,渋澤健,比留間雅人,小林香織,石井芳明,金田晃一,服部崇
  • 出版社/メーカー: 日本経済評論社
  • 発売日: 2010/05/26
  • メディア: 単行本
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20歳のときに知っておきたかったこと/ティナ・シーリグ

 

演習からわかったこと(5ドルを2時間で増やす)

・チャンスは無限にある

・問題の大きさに関係なく、いまある資源を使って、それを解決する独創的な方法は常に存在する
・往々にして問題を狭く捉えすぎている
 
常識を破る
・時間をかけて、常識だと思われることを洗いざらい挙げていく
・大きな問題を、これまでにない方法で解決して使命を果たすことを目標に掲げれば、最初から金儲けを目指すよりも、儲かる可能性はずっと高い
 
ルールを破る
・小さな目標を決めるよりも、大きな目標を掲げたほうが楽なことが多い
・不可能に思えることに挑戦する上で、いちばん邪魔になるのは周りからできるわけがないと決めてかかられること
 
機が熟すことなどない
・新しい分野に移る場合、それまでに身につけたスキルを活かす方法を見極めるのが最善の方法
・自分で自分を押し上げるには、ほかの人たちが切り捨てたアイディアに目をつけ、それを何らかの役に立つものに変える方法を見つける
 
早く何度も失敗する
・何かを決める際には過去にどれだけコストをかけたかを考えに入れるべきではない
・成功するまでやり続けるか、別の道を選ぶかは、こころの声に耳を傾け、選択肢を検討する
・やめるときは周りの人への影響をよくよく考えるべき
・創造的な仕事に携わる人は、創造のプロセスに失敗はつきものだという備えができている
・仕事で成功した人は一直線に来たわけではなく、浮き沈みを経験し、キャリアは波形を描いている
・失敗していないとすれば、それは十分なリスクを取っていないからかもしれない
 
無用なキャリアアドバイス
・情熱とスキルと市場が重なりあうところ
・自分のキャリアはフロントガラスではなく、バックミラーで見ると辻褄が合っている
・できる人たちは、お互いを応援し合い、貴重なネットワークを築いていて、たえず新しいチャンスを生み出している。自分が生活し、働いている場所の生態系によって、どんなタイプの機会が巡ってくるかが大きく変わる
 
幸運は自分で呼び込むもの
・よき観察者であり、開かれた心を持ち、人当たりがよく、楽観的な人は幸運を呼び込む
・多くの人は、飛躍は落ち着かず、小さな場所に留まることを好む。気心の知れた仲間と小規模なプロジェクトに取り組む利点を数多くあげてしまう。
・恐れることなく、自分の人生を演じたいステージに上がろうとすること
 
自己流から抜け出す
・自分がずっと付き合っていく人は、たった50人しかいない、だから評判ほど大事な資産はない
・判断に迷ったときは、将来の時のことなどどう話したいのかを考えればいい
・交渉を成功させる鍵は、全員にとって最大限に有利な結果を引き出せるように、全員の利害を探りだす
・交渉相手の利害やスタイルに合わせて交渉のやり方を変えるべき。席をたつべきかどうかを決めるには、ほかの選択肢を知ること
・最高のチームプレーヤーは他人を成功させるために労を惜しまない。組織内で地位が上がるほど、個人としての貢献は重要ではなくなる
・正しく行動することと、自分にとってのベストな判断を正当化することは大きな隔たりがある
・自分で自分の首を絞める最大の要因は、多くの責任を背負いすぎている
・そのときどきで3つの優先順位を決めること
 
及第点ではなく最高を目指せ
・光り輝くとはいつでも期待以上のことをすると決意すること
・自分の人生に責任を持つのは最終的に自分自身
 
新しい目で世界を見つめる
・自分に対しては真面目すぎず、他人に対しては厳し過ぎない
・人生に起きることのほとんどの失敗は、そのときの自分が思っているほど大したことではない
・不確実性こそがイノベーションを爆発させる火花であり、私たちを引っ張ってくれるエンジンである
20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

  • 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2010/03/10
  • メディア: ハードカバー
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こうだったのか NPOの広報

 

こうだったのか NPOの広報より

  • 広報とは、団体自身や団体の活動を他人に説明し、理解してもらい、共感や協力を得ること。
  • 広報は新聞、テレビ、ラジオなどのマスコミに取材され、記事や番組で紹介される。他者が知らせる。他薦。
    広告は、チラシ、リーフレット、ポスター、DM、ホームページ、ブログ、メールマガジンなど。自分自身で知らせる。自薦。

NPOの広報の強み

  • 社会性:社会的な課題の解決を目指すNPOは、同じように社会的な課題を追求するマスコミと相性がいい。
  • 共感性:相手に寄り添って課題を解決しようとするコミュニケーションが最大限に発揮されるのは、直接顔を合わせたとき。手渡しのチラシや名刺、パンフレットなどが有効。
  • 多様性:多様な課題、多様な価値観を扱うため、ネットで世界中から仲間を募れる。費用的にもお得。

新聞やテレビの連絡

  1. 図書館に行って、実物の新聞の地域面などで支局を探す。
  2. 掲載されていなければ、電話で「取材依頼をしたいのでFAX番号を教えてください」と告げる。

記者クラブの連絡

  1. 県庁の代表に電話し、県政記者クラブをお願いする。
  2. 電話の相手に「資料提供をしたいので、どうすればよいだろうか」と聞く。
  3. FAX番号を聞いて、FAXする。郵送の場合は加盟者の数だけ用意して、その部数を送る。
こうだったのかNPOの広報

こうだったのかNPOの広報

 

 

コトラー ソーシャル・マーケティング

 ・貧困市場をセグメント化する

・ターゲット市場の優先順位を評価、選択する
・望ましい行動への変化を決定する
・変化に際しての障壁、便益、競合を理解する
・望ましいポジショニングと戦略マーケティング・ミックスを策定する
 
○ソーシャルマーケティング計画
1.背景、目的、焦点
2.状況分析
3.ターゲットの概観
4.マーケティングの目標とゴール
5.行動の採用に影響を与える要因
6.ポジショニングの表明
7.マーケティング・ミックス戦略
8.モニタリングおよび評価に向けた計画
9.予算
10.実施計画およびキャンペーンマネジメント
コトラー ソーシャル・マーケティング 貧困に克つ7つの視点と10の戦略的取組み

コトラー ソーシャル・マーケティング 貧困に克つ7つの視点と10の戦略的取組み

  • 作者: Philip Kotler,Nancy R. Lee,フィリップ・コトラー,塚本一郎
  • 出版社/メーカー: 丸善
  • 発売日: 2010/01/29
  • メディア: 単行本
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FREE

 

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略より

  • ユーザに何かしらのお金を払わせることが最も難しい。すべてのベンチャーが抱える最大のギャップは、無料のサービスと1円でも請求するサービスの間にある。
  • フリーはサービスを最大数の人々に届けるのは最良の方法だが、それを目標としていないときには逆効果になりかねない。タダで手に入れたものはあまり注意を払わないから大切にされない。
  • 今日のコストをもとに価格を決めるのではなく、明日に要するであろうコストから価格を決めるのだ。例えば、トランジスタなど。
  • 潤沢な情報は無料になりたがる。稀少な情報は高価になりたがる。書籍は無料だが、講演は有料など。

フリーのビジネスモデル

直接的内部相互補助

  • 無料なもの:消費者の気を引いて、ほかのものも買ってみようと思わせる商品ならなんでも
  • 無料対象者:結局はみんなが、なんらかの方法で喜んで金を払う
  • 例:携帯電話の本体はほとんど無料だが、ネット利用料で儲けを得る

三者間市場

  • 無料なもの:コンテンツ、サービス、ソフトウェアなど
  • 無料対象者:誰でも
  • 例:代表はテレビ。消費者は無料で番組を視聴できる。広告主がテレビに高校料を支払う。

フリーミアム

  • 無料なもの:有料のプレミアム版に対する基本版
  • 無料対象者:基本版のユーザ
  • 例:オンラインサイトなど
  • モデル:時間制限(30日間無料、その後は有料)、機能制限(基本版は無料、拡張版は有料)、人数制限(一定数の人は無料、それ以上の利用者は有料)、顧客タイプによる制限(小規模企業は無料、それ以外は有料)

非貨幣市場

  • 無料なもの:対価を期待せずに、人々があげるものすべて
  • 無料対象者:誰でも
  • 例:贈与経済(ブログを書けば、誰かの評判になるなど)、無償の労働(知恵袋で質問に答えると、検索エンジンがより有効になるなど)

ビジネスモデルの具体例

  1. 無料情報のまわりにコミュニティを築き、個々のトピックスに助言する。
  2. そのコミュニティの助けを借りて、人々がほしがっているものを設計し、助力のお返しに、基本機能を持つ製品を無料にする。
  3. 時間や技術やリスクに対する許容度よりもお金がある人に対しては、有料の機能拡張版を売る。
  4. この過程を繰り返して、黒字にするために4割の利益率を確保する。

デジタル市場では、企業がそうしなくても、誰かが無料にする方法を見つける。複製をつくる限界コストがゼロに近いときには、フリーを邪魔する障壁はほとんどが心理的なものになる。

Webの何かに無償で貢献する理由

  1. コミュニティ
  2. 個人の成長
  3. 助け合い

人は自分が重要だと思う領域で無償労働をすることによって、尊敬や注目や表現の機会や観客を得ることができる。

無料のルールにおける思考法

  1. デジタルのものは遅かれ早かれ無料になる(価格は限界費用まで落ちる)
  2. アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
  3. フリーは止まらない(いつかは不正コピー防止も誰かにやぶられる)
  4. フリーからもお金儲けはできる
  5. 市場を再評価する
  6. ゼロにする(いつかは無料になるのであれば、自分が先にする。その上で何ができるかを考える)
  7. 遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
  8. ムダを受け入れよう(留守番電話の録音がいっぱいです、などは昔のビジネスモデルに固持する業界の限界)
  9. フリーは別のものの価値を高める(潤沢さは新たな希少さを生み出す)
  10. 稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

  • 作者: クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2009/11/21
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「みんなの意見」は案外正しい/ジェームズ・スロウィッキー

 賢い集団の4つの特徴

 意見の多様性(既知の事実のかなりの突拍子もない解釈だとしても、各人が独自の私的情報を多少なりとも持っている)
 独立性(他者の考えに左右されない)
 分散性(身近な情報に特化し、それを利用できる)
 集約性(個々人の判断を集計して1つの判断に集約するメカニズムの存在)
「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

  • 作者: ジェームズ・スロウィッキー,小高尚子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/11/25
  • メディア: 文庫
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田舎力/金丸弘美

 発見力

  • 地域の独自性はなにかをとことん考える
  • よそ者、特に都会も海外も知っている若者や女性の視点で見つめ直す
  • 都会や他所の地域を安易に真似しない
ものづくり力
  • 自分たちがきちんとしたオリジナルな商品を生み出すこと
  • 多くの女性たちが参加できるような場面で実際に食べて、料理の展開までわかっていないといけない
  • 地域の特性に合ったもの、環境や豊かさを大事にする
ブランドデザイン力
  • たんに商品を開発するのではなく、まちそのものの景観や環境に配慮してトータルにデザインする
  • ソフトと人材の開発にお金を使う
  • ものづくりを核に体験メニューで消費者を巻き込む
  • 徹底的に田舎の物語を織り込んで売る
食文化力
  • 食材のテキストがあり、素材の持ち味から食べ方、地域の文化や新しい料理の展開まで誰にでもわかりやすく伝えられる
  • 誰もが学習できるテキストと、体験できるワークショップを効果的に組み合わせる
  • アンテナショップやラボなど、文化を伝える場を作る
環境力
  • 環境のため が地域住民の誇りになる
  • 身の丈に合った経済規模が持続可能のポイント
  • 伝統的な建築物を大切にする
  • 景観保護のために街全体のデザインに配慮する
田舎力―ヒト・夢・カネが集まる5つの法則 (生活人新書)

田舎力―ヒト・夢・カネが集まる5つの法則 (生活人新書)

 

 

コミュニティを問いなおす/広井良典

 

コミュニティ

・人間がそれに対して何らかの帰属意識を持ち、かつその構成メンバーの間に一定の連帯ないし相互扶助(支えあい)の意識が働いているような集団

・原初から内部的な関係性と外部との関係性の両者を持っている
・都市型コミュニティは開放性があるが、情緒がない。農村型コミュニティはその逆。
・福祉をその土地の特性、人との関係性、ハード空間のあり方と一体のものとして考える。
 
その他
・真の意味で個人の機会の平等を保障するためには、そこに相当な制度的介入、または再分配の仕組みが必要。
 
広井先生の提案
・人生前半の社会保障の強化
・住宅の保障機能の強化
・福祉政策と都市政策の融合
・課税・財源のあり方
コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書)

コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書)

 

 

ロングテール(アップデート版)

 

ロングテール(アップデート版)―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ新書juice)より

  1. 手に入る商品のテールは思ったよりずっと長い。
  2. 経済的に、テールの商品にも手が届くようになった。
  3. 全部足せばニッチは重要な市場になり得る。
  • 大成功したインターネットビジネスは、何らかの形でロングテールを利用している。
  • 文化と経済が需要曲線のヘッドにある比較的少数のヒット(主流派の製品や市場)に焦点を合わせるのをやめ、テールにある無数のニッチへ移行する。
  • ロングテールは販売コストを下げれば下げるほど選択肢を増やせる倍々ゲームだ。
  • フィルタがなければロングテールはただの雑音になる危険性がある。
  • ロングテールは品質において最高から最悪までの幅広いダイナミックレンジを持つ。普通の店舗は比較的狭いダイナミックレンジで、だいたい普通から良まで。
  • 多くの人たちにとって最高の商品はテールにある。
  • 予測によるフィルタは市場にたどり着く前に商品をふるいにかける。レコメンデーションなどのフィルタは、特定の分野の中でいちばんいいものを見つけていく。商品を全部放出して市場に仕分けを任せる。
  • ヘッドの商品しか置かないと、顧客はすぐ別のものを欲しがるけれど提供できない。いっぽうテールの商品しかないと、顧客がどこから見ていけばいいかわからなくなる。ヘッドとテールの商品を両方提供するのが大事なポイントだ。
  • 誰が彼らに影響を及ぼしているのかを見極め、そこへエネルギーを集中させることだ。メッセージを送るよりも、耳を傾けることから始まる。

ロングテール時代の6つのテーマ

  1. ニッチ商品はヒット商品よりもはるかに多い。
  2. ニッチ商品を入手するコストが劇的に下がってきた。提供できる商品の種類は大きく広がった。
  3. レコメンデーションや人気ランキングなどのフィルタが需要をテールに導くことができる。
  4. 需要曲線はなだらかになる。
  5. ニッチ商品の数はたくさんある。それらをすべて合わせればヒット商品市場を張り合える。
  6. 以上の要素が揃えば、自然な需要の姿が現れる。

ロングテールビジネスを発展させるコツ

  1. すべての商品が手に入るようにする。
  2. ほしい商品を見つける手助けをする。

ロングテールの集積者としての成功するための9つの法則

  1. 在庫をできるだけ集めるか、消してしまう(Amazonのマーケットプレイスなど)
  2. 顧客に仕事をしてもらう(レビューなど)
  3. 流通手段を増やす
  4. 消費形態を増やす(音楽を1曲単位で販売するなど)
  5. 価格を変動させる(オークションで買うなど)
  6. 情報を公開する(人気ランキングなど)
  7. どんな商品も切り捨てない(無限のスペースがあるので、すべて提供する)
  8. 市場に整理を委ねる(フィルタで測定し、その結果に応じる)
  9. 無料提供を行う(音楽の30秒視聴やビデオのプレビューなど)
ロングテール(アップデート版)―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ新書juice)

ロングテール(アップデート版)―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ新書juice)

 

 

対話する力/中野民夫・堀公俊

 ・ワークショップは休憩が大事。参加者間の話が盛り上がることもあるし、そのときに参加者やスタッフからのフィードバックを得ることもできる。

・ファシリテーターはその場での参加者のやる気をすぐに判断しないといけない。うなずき度合い、表情、冗談へのレスポンスなどで判断できる。わからなければ、参加者に聞いてしまうのもあり。
・チェックインの際は、自分の体験から語ってもらう。このテーマに関心を持つようになったきっかけを思い出して話してもらう。
・グループサイズでははじめは2人で、次に4人で、最後は全体で、と集団内で語るレベルを上げていく。
・ファシリテーターがみんなの前で本音を語るようにして、モデリング効果を生む。
・グループのメンバーを選ぶ際は右脳系と左脳系を混ぜるように配置する。
・問いのたて方としては、共通の関心事でありながら、ちょっと視点を変えられるもの、探求のエネルギーを持続させるもの。「なぜここにいるのか」という問いもよい。
・ここから出現しようとしている未来はなんなのだろうか、と好奇心を持って無心に問う。
・課題解決に関するワークショップでは、ワークショップの興奮と現実的な会議をセットにしておく。ワークショップでコミットメントを得て、後日具体的な方策を会議する。
・ワークショップでできることは、参加者の中にもっとやりたい、もっとやれそうだという前向きなエネルギーが出てくることだ。
対話する力―ファシリテーター23の問い

対話する力―ファシリテーター23の問い

 

 

「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法

 

「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法―チラシ・DM・ホームページがスゴ腕営業マンに変わる!より

  • 100人くらいのお客様にアンケートを取ると、共通するキーワードや自分のお店や自分の会社のターゲットとすべきお客様が見えてきて、自社の強みがはっきりとわかる。

「A4」1枚アンケートの5つの質問

  1. 商品を買う前に、どんなことで悩んでいましたか?
  2. 何で、この商品を知りましたか?
  3. (商品名)を知ってすぐに購入しましたか?もし購入しなかったとしたら、どんなことが不安になりましたか?
  4. いろいろな商品がある中で、何が決め手となってこの商品を購入しましたか?
  5. 実際に使ってみていかがですか?
「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法―チラシ・DM・ホームページがスゴ腕営業マンに変わる!

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ファシリテーション 実践から学ぶスキルとこころ/中野民夫など

 ○大学でのファシリテーションの応用

・基本型
1.全体:問題提起
2.宿題:個人作業
3.小グループでシェア
4.全体に発表・ディスカッション
5.個人でフィードバックシート記入
・曼荼羅
導入(10分)出席を取る・チェックイン・つかみの小話
少人数グループで話し合う(30分)小グループに分けて1人ずつ発表してから自由に話し合う、要点を書き出す
全体で共有し、自由に話し合う(30分)グループごとに発表し、全体で共有、さらに自由な意見交換を促す
フィードバックシートの記入(5分)まとめのコメントと新たな問題提起へ(宿題を出すことも)→上に戻り、次回の授業へ
 
○流れ
1.共有 さまざまな情報共有や目的、ゴール設定など
2.拡散 自由な発想でアイディアを広げ、可能性をふくらませる
3.収束 具体的な成果に向かって意見を集約する
4.共有 今までの成果を確認して、次に向けてのステップを明確にする
 
○オリエンテーション
1.アウトカム 求める成果、ゴール設定、終わったときのメンバーの状態
2.アジェンダ 進行次第、タイムテーブル
3.ロール メンバーのそれぞれの役割と心構え
4.ルール メンバー間のルールやこの場での約束事
 
○ファシリテーションの根っこ
・ファシリテーターの人や場に対する基本的な姿勢や態度が参加者に大きな影響を与えている
・ファシリテーターは自分の中で起こっている感じや感情に敏感になろう
・時と場合に応じて全く違うアプローチを使い分けよう
・プログラムデザイン、対象者の理解、場のデザインの3つが基本
 
・アイスブレイクではごく自然に全員が一言でよいので言葉を発する仕掛けを作る
・チェックインはあわかじめ話す内容を決めておくこと、一人当たりの時間をある程度決めておくことが大事。ただし、あまりに多人数であったり、知らないもの同士だと緊張する
・インストラクション(指示出し)は、なに、なぜ、どのように、をわかりやすく端的に説明する。質問を受けることも忘れない。
・時間の節約方法として作業のグループサイズを小さくする。5名×1分よりも、3名×1分のほうが早く終わる
・質問はコンテンツに注目したものとプロセスに注目したものがある。AさんとBさんの意見は同じか?はコンテンツ、AさんとBさん以外の方はどうか?はプロセス
ファシリテーション 実践から学ぶスキルとこころ

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