- ユーザに何かしらのお金を払わせることが最も難しい。すべてのベンチャーが抱える最大のギャップは、無料のサービスと1円でも請求するサービスの間にある。
- フリーはサービスを最大数の人々に届けるのは最良の方法だが、それを目標としていないときには逆効果になりかねない。タダで手に入れたものはあまり注意を払わないから大切にされない。
- 今日のコストをもとに価格を決めるのではなく、明日に要するであろうコストから価格を決めるのだ。例えば、トランジスタなど。
- 潤沢な情報は無料になりたがる。稀少な情報は高価になりたがる。書籍は無料だが、講演は有料など。
フリーのビジネスモデル
直接的内部相互補助
- 無料なもの:消費者の気を引いて、ほかのものも買ってみようと思わせる商品ならなんでも
- 無料対象者:結局はみんなが、なんらかの方法で喜んで金を払う
- 例:携帯電話の本体はほとんど無料だが、ネット利用料で儲けを得る
三者間市場
- 無料なもの:コンテンツ、サービス、ソフトウェアなど
- 無料対象者:誰でも
- 例:代表はテレビ。消費者は無料で番組を視聴できる。広告主がテレビに高校料を支払う。
フリーミアム
- 無料なもの:有料のプレミアム版に対する基本版
- 無料対象者:基本版のユーザ
- 例:オンラインサイトなど
- モデル:時間制限(30日間無料、その後は有料)、機能制限(基本版は無料、拡張版は有料)、人数制限(一定数の人は無料、それ以上の利用者は有料)、顧客タイプによる制限(小規模企業は無料、それ以外は有料)
非貨幣市場
- 無料なもの:対価を期待せずに、人々があげるものすべて
- 無料対象者:誰でも
- 例:贈与経済(ブログを書けば、誰かの評判になるなど)、無償の労働(知恵袋で質問に答えると、検索エンジンがより有効になるなど)
ビジネスモデルの具体例
- 無料情報のまわりにコミュニティを築き、個々のトピックスに助言する。
- そのコミュニティの助けを借りて、人々がほしがっているものを設計し、助力のお返しに、基本機能を持つ製品を無料にする。
- 時間や技術やリスクに対する許容度よりもお金がある人に対しては、有料の機能拡張版を売る。
- この過程を繰り返して、黒字にするために4割の利益率を確保する。
デジタル市場では、企業がそうしなくても、誰かが無料にする方法を見つける。複製をつくる限界コストがゼロに近いときには、フリーを邪魔する障壁はほとんどが心理的なものになる。
Webの何かに無償で貢献する理由
- コミュニティ
- 個人の成長
- 助け合い
人は自分が重要だと思う領域で無償労働をすることによって、尊敬や注目や表現の機会や観客を得ることができる。
無料のルールにおける思考法
- デジタルのものは遅かれ早かれ無料になる(価格は限界費用まで落ちる)
- アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
- フリーは止まらない(いつかは不正コピー防止も誰かにやぶられる)
- フリーからもお金儲けはできる
- 市場を再評価する
- ゼロにする(いつかは無料になるのであれば、自分が先にする。その上で何ができるかを考える)
- 遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
- ムダを受け入れよう(留守番電話の録音がいっぱいです、などは昔のビジネスモデルに固持する業界の限界)
- フリーは別のものの価値を高める(潤沢さは新たな希少さを生み出す)
- 稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう
- 作者: クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2009/11/21
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