僕たちはデザイナーか、それともデベロッパーか?
CSSerの話と少し関連する英語の記事をいいタイミングで見つけましたので、和訳してご紹介します。英語のブログは僕の心の師匠である456 Berea Streetの「Are we designers or developers?」より。
このサイトの「About」のページでは、自分のことを「デベロッパー/デザイナー/ときどきライター」と以前は書いていた。それは少し紛らわしくて、誰かから「どんな仕事をしているの?」と聞かれたときに、どういうふうに答えればいいのか未だに困っている。僕はデザイナーだろうか?それともデベロッパーだろうか?プログラマだろうか?その全部だろうか?いや、全部当てはまっていないのかも?この質問にシンプルに答えることは本当に難しいのだ。
僕の答えは、誰に、いつ、なぜ、どんな環境で聞かれたのかによって変わってくる。「僕はWeb関連で働いているよ」、「Webサイトを作っているんだよ」とときどき答えているけど、そのどちらも僕の本当に言いたいことをちゃんとは言えていないと思う。もっと短く、シンプルに、的確な答えを返すことは簡単にできるのだろうか?
見方を変えれば僕はデザイナーなんだろうけど、最近はほとんどグラフィックデザインを手掛けていない。多くの人はデザインとグラフィックデザインを同じものだと勘違いしているけれど、デザインというのは物事をうまく運ぶことでもある(訳者注:意味合いとしてはディレクターに近い感じかな)。だから、僕はそれをやっているから、たぶん自分をWebデザイナーだと呼ぶべきなんだろう。
でもそうは思えなかった。僕にとっての「Webデザイナー」はドットコムバブルの経験から、すごく汚い仕事内容になってしまった。当時、Webサイト制作会社はもっともっと従業員をほしがっていたから、ちゃんとした技術力を持っていない多くの人を雇って、そんな趣味の延長線上の人たちが、コピープロテクトを破ったDreamweaverやGoLiveのWYSIWYGを使ってサイトを作っていた。そんなことを思い出してしまう。だから、自分自身のことをWebデザイナーとは言いたくない。
その代わりに僕はときどき「Webデベロッパー」というのも使っている。この呼び名の問題は、僕がほとんど手掛けていないバックエンドのプログラミングをする人だと多くの人が思ってしまうことだ。でも、これはWebデザイナーよりもプロフェッショナルな響きを持っているとは思う。
僕たちの選択肢はほかにあるだろうか?ユーザインターフェースプログラマー、フロントエンドデベロッパー、ユーザエクスパーリエンスアーキテクト(えっと、僕にはユーザエクスパーリエンスという言葉にはアレルギーがあるんだけど)とか、いろんな呼び名はある。多くの呼び名があるけれど、Web関連で働いていない人たちには現実的にほとんど理解してもらえないだろう。
これって本当に問題なんだろうか?ほとんどの場合は「いいえ」だろう。けれど、美容師さんや近所の人たちにあなたがどんな仕事をしているのか、みんなに分かってもらうにはちょっと難しくないだろうか。「僕はWeb関連で働いている」とか「僕はWebサイトを作っている」というのは仕事の種類には見えるけれど、もしグラフィックデザインとかプログラミングとか、もしくは両方ともをやっていたとしても、みんなは分かってくれるんだろうか。
それと、これを読んでいるみんなにもう1つ聞きたいことがあるんだ。グラフィックデザインをやっているのではなく、主にHTMLやCSS、JavaScript、アクセシビリティなどをやっている人たちに2つ質問をしたいんだ。
みんなに任せるから、いろいろと答えてほしい。
訳は以上で。このエントリーに対するコメントも興味がひかれたので、いくつか抜粋しておきます。
- 私はいつも自分のことをウェブデベロッパーというけどね。プログラミングもデザインもやるから。それでも、デザインはうまくないけどね。
- ウェブデベロッパーだとみんなに言うと、「なるほど!で、それって何?」、「僕もWebサイト持ってるよ!」って答えがよく返ってくるけど。
- Web関連ではときどきあるけれど、ほかの人はその職種が何なのか分からないんだよね。私は「シニアサイトデベロッパー」っていう肩書きだけど、デベロッパーに加えチームマネジメントの職種が入ってくる。何度か変更しようとしたんだけど、うまくいっていないなー。
- IIRCのGarrett Dimonは「フロントエンドアーキテクツ」って言ったけど、私はこれが気に入ってる。
- こんな経験はあるけどね。「何の仕事してるんですか?」「Webサイトを作ってるんだ。プログラミングとか。」「なるほど。Webデザインとかの」「うーん、まあ。。。」沈黙…。
- 家族や友だちには「コンピュータサービスマン」って言ってたことがあるよ。
- 「コンピュータ関連で働いている」って言うけど、大体3秒後には「昨日、DellのCM見たよ」って返事が返ってくるけどね。
- Webプロデューサーは分かりやすいみたいだけどね。デザイナーとプログラマーをつなぐ仕事だって言えるから。
ってな感じで。これは僕も似たような経験がよくあって、「何やらあいつはホームページに詳しいらしい」とどこかから話を聞いた人たちが、「メールを配信するソフトを作ってくれ」だの「会員のみのSNSみたいなやつを作ってくれ」だの、ちょっと手に負えないプログラミングの話が舞い込んできたりします。僕はマークアップ言語を書けるけど、プログラミングはイマイチなのです。やっぱり、非Web業界に属するからなおさら仕方がないのかとも思いますが。
こういった話は専門分野ならどこでもあるのかもしれませんし、一種の笑い話なのかもしれませんが、マスコミなどから「IT関連」とよく分からない括りでひとまとめにされてしまう1つの要因なのかなとは思いました。
っていうのを考えると、CSSerがどうのこうという話も大事かもしれないですが、Webに詳しくない人たちにも自分たちの仕事内容をちゃんと理解してもらうための「呼び名」というのは大事なのかもしれません。
追記(2007年8月11日)
このエントリーを読んでいて最初に思ったのは「あれ、コーダーとかって入らないの?」ということ。もしかすると、コーダーやマークアップエンジニアというのは英語圏の職種にはないのだろうかと疑問に思いました。確かに、このRogerはHTML以外にもJSやデザイン、アクセシビリティと多岐に渡るエントリーを書いているし、IEハックなんて全部捨てちまえ!で訳させてもらったNickはCSSについて書いているけれど、Flashやデザインが中心だと思う。というのは誰かエライ人が解説してくれると期待したい。っていうか、このことを一番書きたかったのに、訳すのに一生懸命で忘れてた。