これからキャプションを作りたいと思っている方のために
先日公開したOpen Accessibility Library Projectですが、このWebサイトに掲載している動画は、トップページのIntroduction Movieを除き、すべてキャプションを制作しています。キャプションはWebサイトにテキストとして貼り付けていますし、YouTubeプレーヤーでも利用することができます(動画のキャプション : スタートガイド - YouTube ヘルプ)。
メリット
キャプションは最高です。動画を作るのであれば、キャプションは絶対作った方がいいです。
聴覚障害を持つユーザにとって便利だというアクセシビリティ上のメリットもありますが、ほかにもこんなメリットが考えられます。
- ポッドキャストや動画の内容を文章で読みたいと思う人がいる(僕のこと)
- インタビュアーの日本語が下手で分かりづらい(男性の声、つまり僕のことです。滑舌悪いんです)
- Webサイトにテキストとしてキャプションを掲載できるので、検索エンジンが拾ってくれる
- 将来的に、キャプションから動画をYouTubeで検索できるようになる可能性がある
- YouTubeのキャプションは日本語からほかの言語に自動翻訳できる(品質はぼちぼち)
- 日本語を母語としていない人たちも内容を理解しやすい
ほかにもさまざまなメリットがあると思います。
ガイドライン
OALPを制作していた時はキャプションのことをよく分かっていなかったので、「とりあえず、動画の内容がテキストで理解できればいいんでしょ!」くらいにしか思っていませんでした(おい。しかし、キャプションを作成するためにはさまざまなノウハウがあるので、今後キャプションを制作する方は次のリソースを参照することをオススメします。
- ビデオコンテンツへの字幕挿入講座(PDF)
- 映像翻訳の ルール大全(PDF)
- Captioning Key for Educational Media - Home
- Caption It Yourself™ - Described and Captioned Media Program
「そもそもキャプションってなんぞや?」と思っている方もこれらのリソースは役立つことと思います。
僕が調べた感じだと、日本語より英語のガイドラインのほうが充実しています。また、日本語のガイドラインは映画の字幕を扱ったものが多く、そのまま使えるかどうかは分かりません。ただ、英語のガイドラインはやはり英語という言語特性を踏まえたものなので、日本語のガイドラインを参照した方がよいかと思います。個人的には広島大学あたりがノウハウをいろいろと持っているような気もするんですが。
加えて、@saco_さんから、
@aratakojima 放送業界にあったような。。今出先でPCないのでURIわからないですが、そのようなのがあったと思います。
http://twitter.com/saco_/status/11420430612
と聞いて、日本語のリソースを探し回ったのですが、果たしてこれでよかったのかという疑問は多少ありますが・・・。
ソフトウェア
キャプションの制作は友人と分担しました。
- Googleドキュメントでテキストのみを起こす
- CaptionTubeでYouTube用に制作し直す
- マークアップする
という流れです(実際は1番と2番を一気に進め、3番はあとからまとめて行いました)。
キャプションのコーディングはdl要素を使っています。これは、ミツエーリンクス社の「辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast」を参考にしています。
追伸1(インタビューの方法)
インタビューはあえてアクセシビリティのtipsにはほとんど触れていません。tipsはWCAG2.0やブログ、書籍でも扱っていることが多いので、そちらを参考にしてほしいから。そんなtipsよりも、障害者や高齢者が実際にはどんな使い方をしているのかについて焦点を合わせています。
ただ、反省点もあります。
- 聴覚障害を持つユーザのインタビューを確保できなかったこと
- 高齢者がネットをうまく使えないということをインタビューで言語化できなかったこと
2つ目に関して補足します。インタビューを引き受けてくれてた高齢者は「自分は平均以上には使えている」と思っているわけです。でも、インタビューの時に「では、ちょっとYahoo!に行ってください」とお願いすると、その行き方が分からない。「あれ、いつもある場所にない(お気に入りが表示されていない)」となったりします。このやり取りこそ重要なポイントなのですが、それがなかなか伝えにくいし、インタビューとしても使いにくい。
一方、言い方はよくないですが、障害者は支援技術を使っていることが多いため、視覚的にもその特徴が分かりやすいのです。インタビューを動画で撮影するということは、視覚的に訴えられるというメリットがある一方、言語化できないことは伝えにくいというデメリットがあるように感じました。