クチコミはこうしてつくられる
クチコミはこうしてつくられる―おもしろさが伝染するバズ・マーケティングより
- バズはそのブランドについての、クチコミのすべてである。ある特定の製品・サービス・企業について、あらゆる時点で行われる人と人とのコミュニケーションをすべて集計したものだ。
- クチコミは常に情報を広めること(ここから遠くないところで雨が降っている)と、情報を分析すること(そこへ行くべきだろう)という2つの役割がある。
- クチコミを作り出すのは、相互作用と信頼だ。
バズのビジネスへの影響度
バズがあなたのビジネスにどのような役割を果たすかは次の4つの要因に起因する。
製品の特性
- エキサイティング型製品(本やレコード、映画など)
- 革新的な製品(Webブラウザなど)
- 経験型の製品(自動車、ホテルなど)
- 複雑な製品(ソフトウェアや医療機器など)
- 高価な製品(コンピュータや電気製品など)
- 目に見える製品(洋服や携帯電話など)
人々の特性
人が違えば、話題にする製品も違う傾向がある。
顧客の結びつき
顧客が互いに結びついていればいるほど、バズがビジネスに与える影響は大きくなる。
自社のマーケティング戦略
自社のマーケティング戦略がバズに影響する可能性がある。
ネットワークのハブ
ある製品について平均よりも多くコミュニケーションする人たちのこと。情報を伝え、他者の製品についての意思決定に影響を及ぼす。
- 新製品を初めて試す人々ではなく、ネットワークの残りの人々よりもほんの少し先を行っている。
- ほかのネットワークのハブとのつながりを志向し、行動する。そのため、旅行などの回数が多い。
- 常に情報に飢えているので、いろんなものに目を通す。
- おしゃべりである。
通常のハブ
ある製品カテゴリにおいて情報や影響を与える人々のこと。
メガ・ハブ
報道陣、有名人など。通常のハブと同時にマスメディアを通じてメッセージを聞く人々との一方向性のリンクを持っている。
エキスパート・ハブ
特定の分野で顕著な地域を示してきたため、質問される人々。パソコンのことなど。
社会的ハブ
どんなグループでも中心になる人たちがいる。カリスマ性や仲間からの信頼などによって。
バスに影響を及ぼす社会ネットワーク
- 社会ネットワーク内のそれぞれの結びつきが見えない。
- お互いに似ている人々はクラスターを作る傾向があり、自社の従業員が顧客に類似しているほど、両者のコミュニケーションは容易になる。
- 自社の製品が特定のクラスターと密接になりすぎると、ほかのクラスターの人々に敬遠される可能性がある。
- お互いに知っている人を通じてバスが広がっていくのであれば、マーケッターはそのほとんどをコントロールできない。
- 情報はクラスター内に閉じ込められ、ほかのクラスターに広がっていきにくい。
- ネットワークのハブとコネクターはショートカットになりうる。そのため、社内の人が離れたネットワークの人とのつながりを作ることによって、意図的にショートカットを作ることができる。また、そのショートカットを作る可能性が最も高い人を識別することもできる。
- 人は身の周りの人と話すので、地域的な影響力は大事だ。
- ネットワークの外部にいる人たちは、新鮮な情報を運んできてくれる。
- インターネットはクラスターをつなぐショートカットとなる、弱い結びつきを作った。
- あるセグメントに属する人が別のセグメントに属する人とどのようにつながっているのかは決してわからない。
バズの創造を支援するための質問事項
- あなたのクライアントや顧客は、典型的にどのような人から、あなたの製品について学んでいるか。
- あなたの製品を推奨するとき、人々はどのようなことを言っているか。
- あなたの製品についての情報は、強豪相手の製品と比べて、どれくらい早く広まるか。
- ネットワークのハブはだれか。
- 情報はどこで阻害されるか。
- 顧客はいくつの情報源に依存しているか。どれが最も重要か。
- 同じネットワークで、ほかにどのような情報が広まるか。
感染型製品の特徴
- 感情的な反応をかきたてる製品(ブレア・ウィッチ・プロジェクトなど)
- 自分自身を広告する製品(初期のインスタントカメラなど)
- 足跡を残す製品(フィルムの現像など)
- 利用者が増えれば増えるほど便利になる製品(電話、メールなど)
- 互換性のある製品(そのソフトウェアがWinとMacのどちらでも使えるなど)
- あとはすべて自分でしてくれる製品(インスタントカメラなど。シャッターを押すだけ)
- ただし、次のどちらかを必ず満たさなければならない。製品のパフォーマンスが期待を上回ること、顧客が期待するよりも低い価格にすること。
感染を加速するために
- いろんなネットワークになんとかして、つながりを作らないといけない。
- 通常使われるであろうネットワーク、コミュニケーション・チャネルよりも多くのことをしないといけない(オンラインのネットワーク管理だけではなく、同時にセミナーも全国で開催するなど)。
ハブの見つけ方
- ネットワークのハブ自身に識別させる。情報を求めて、自分たちからあなたのもとに来る。
- ネットワークのハブのカテゴリを識別する。価値あるネットワークのハブを含んでいる可能性がある人々のカテゴリを識別する。
- 現場のハブに焦点をあてる。現場に向かい、5分でも人と話せばわかるもの。また、複数の会社で働いている人は、それぞれの会社に感染を広げる可能性がある。
ネットワークのハブとうまくやっていくために
- ハブを追跡し続ける。ハブを最初のターゲットにする。
- 話のネタを与える(イベントの参加など)。
- 自社の精神について話すことができる機会を提供する。
- 事実を与える。自社の製品をすでに知っていると考えるべきではない。
- ハブが自社の製品を利用しているところを、ほかの人々が見れるようにする。
種まき
- 自社の製品のクチコミの広がりを加速するために、各クラスターの重要なメンバーに種をまいている。種は実際の製品だったり、その見本だったりする。
- 製品により高い関与を持っている人を、異なったネットワークから手に入れて、彼らがほかの人に新製品について話すことができるようにする。
- 活動的ではない死んだネットワークを識別することが大事。そのネットワーク内で自社の製品がどれくらい話されたか、だ。しかし、種はそれらのネットワークにもまくべき。
種まきキャンペーンの原則
- 通常よりも広い範囲を視野に。メディアや書店など伝統的なネットワーク以外にも。
- 彼らの手に製品を。製品全体を経験してもらう。
- 価格障壁を低く。可能ならば無料で。
- 声なき声に耳を。死んだネットワークにも種まきを。
よいストーリー
- 情報を制限しつつ、徐々に公開しなければならない。
- 裏話を公開する。
- 静かなメッセージよりは、突飛なメッセージのほうが生き残る可能性が高くなる。
- 重要な要素は主人公。人が注目されているときは、バスがより早く広がる。
ネット上のバイラルマーケティング
- 製品自体をコミュニケーションプロセスの一部にする。電子メールなど。
- 顧客同士に相互作用させる。互いに話をすように動機付ける。
- 顧客が口コミを広めるのを促進する。友達に簡単に転送できるようにするなど。
紹介者に報酬を与えるべきか
- あまり高価でない。
- その製品を信頼しているから勧めていると感じられるようにする。
- この手のマーケティングをする前に、顧客に確認する。
- 直接的な金銭的報酬ではないものにする。例えば、自社のゲームで使えるカードなど。
- 紹介しないのに報酬を得られるようにはしない。
広告とバス
- あるクラスターではよいバスが生じているのに、ほかのクラスターでは支援が必要なことがある。
- ネットワークのハブに到達するために効果的な方法である。
- その製品を採用したのが自分たちだけではないこと、その決定を正当化するための理由付けになる。
- 正確な情報を広告で届けることによって、メッセージのゆがみに部分的に対応できる。
- しかし、広告はクチコミほど信用されていないし、メッセージを押し付けようとする広告は、バズを殺してしまう。
- 証言型広告が信用されるのは、実際に顧客だから。有名人は注意をひき、彼らの行動をまねさせるが、証言型広告よりもクチコミを刺激しない。
広告とバズについての法則
- シンプルさを保つ
- 新しいことを伝える
- できないことを言わない
- 自社の製品のどこが特別なのかを顧客に明確に表現してもらう
- バズを測定し、耳を傾ける
流通チャネルとの協力
- ネットワークの中で信用されている卸売業者に種をまく。また、種をまくだけでなく、ジャンプ台としても利用するべき。
- あえて流通チャネルを限定させ、稀少性を高めることもできる。
バズを生き続けさせる
- 顧客の関与を増やし、製品について考えてもらう時間やきっかけを増やす。イベントやコンテストなど。
- その製品をまだ使ったことがない新しい顧客をつくる。
- 話す価値がある創造的な改善を行う。
クチコミはこうしてつくられる―おもしろさが伝染するバズ・マーケティング
- 作者: エマニュエルローゼン
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