第25回WebSig会議で考えたこと
第25回WebSig会議「エコだけじゃない!『ネットを使って社会をよくする』新潮流とWeb屋の関係」を大阪で中継するというので行ってきました。そんなところで感想などを。
似ているようで異なるアプローチ
まず、僕がめっちゃ勘違いしていたことがあります。それは、
- ネットを使って社会をよくする
- 社会をよくする活動に対してネットを使って支援する
という2つのことです。これらは似ているようですが、実はアプローチも考え方も大きく異なります。
どちらとも「社会をよくする」という目的は共通なのですが、手段として先に「ネット」が来るのか、「活動している団体」が来るのかでそのアプローチは違います。前者はどのようなWebサービスを作り、社会に影響するのかを考えるわけですが、後者はすでに存在するNPOなどの団体をどのようにサポートするのかを考えます。両者は依って立つものが異なるわけで、その結果事業形態やビジネスモデルに違いが出るんだろうなと気づきました。
NPO業界の課題
僕がNPO業界に入ったのは2005年1月ですが(入ったというよりも、自分たちでNPO法人を立ち上げた)、サポートしているNPOと僕たちがどのようにWin-Winの関係になれるのかが今でも最大の焦点です。ボランティアは永続的には続かない。だから、僕たちが食っていけるだけの収入を必要とする。一方で、予算が十分にはないNPOをどのようにサポートし続けられるのか。今でもずっと悩んでいます(この過程でWordPressに出会えたことは本当に幸運でした)。
僕のTwitterでの発言は、そのように永続的に続けられる団体が東京に存在するのか、といった疑問からです(スピーカーの方々がどんなことをしているのかは知ってはいるのですが)。
欧米と違いファンドレイジングが日本ではまだ普及しておらず、また助成金も単年度が一般的でずっと続くものではない。ボランティアのみで事務局を運営する方法もあるが、ノウハウが貯まらず、責任を担保できないし、現役世代を無給のまま働かせるわけにはいかない。すると、事業型NPO(または社会起業っぽいモデル)を目指すしかないという結論に僕は至りました。でも、そうではない事業形態があるのであれば、ぜひそれを知りたいなと思っています。多くのNPOワーカーがこのような問題意識を持っているはずです。
もちろん、今回のWebSig会議では僕が述べた上記の点が主要な課題ではありませんから、スピーカーの方々が答える義務はありません。ただ、社会によい活動をいかにして永続的に続けていけるのかという点は、今後もNPO業界にとっての1つの大きな課題であるということは変わらないのです。
NPOをサポートする侍業
一度、ファンドレイジング道場の鵜尾さんとお話しする機会がありました。鵜尾さんがファンドレイザーとしての独立することに僕は非常に感銘を受けたと伝えました。そのときに鵜尾さんがおっしゃっていたことが心に残っています。
今、自分がやろうとしていることはNPO向けの侍業が成り立つかどうかを試している。
NPOをサポートする、いわゆる中間支援組織の多くはその財源を助成や委託、補助などに頼っているのが現状です。しかし、それらの財源は行政の方針転換、コンペなどによってすぐに消えてしまう水物だということも僕たちは知っています。
鵜尾さんがおっしゃるNPOをサポートする侍業やビジネスというのは事業の継続性を必要とし、だからこそ、事業の収益源としての多様性を必要とするのです。僕もNPOのWeb戦略をサポートする一人の侍業の人間として、どのようなビジネスモデルが成り立つのか今後も実験していきたいと思っています。
あれ、あまり本題とは関係ないところに帰結してしまいました。