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ハウルの動く城を観ました。

今更ながら、ハウルの動く城を観ました。で、レビューを、と。


多くの人がコメントしているように、最後のドタバタ感は否めなかったし、対立軸がもののけ姫のようには分かりやすいわけではない。でも、個人的には非常に面白いネタだった。


CMなどでは「90歳の女性と気弱な魔法使いの恋の物語」みたいなものだったように思うのだが、まあ確かにそうなのだけど。僕としては、そういった観点より「ハウルが人の心を失くし、それを取り戻す」というテーマのほうが強かったような気がする。


ハウルは自分の心の弱さ、そして火のカルシファーが幼い頃自分の心と分離したことによって、悪魔と契約を交わすことになる(といっても、それがメイントピックだと思っていたのだが、その描写はあまりにも少ない)。で、それで人の心を失いつつあり、悪魔になるのか、人としているのか、という狭間に立つことになる。


心を失い、戦争で多くの命を殺めることになるのだが、それも割り切れた感情ではなく、毎度疲労困憊した状態で城に帰ってくる。それが、何とも痛々しい。


もののけ姫では自然と科学の対立、千と千尋では人が強く生きるためへの成長、そしてハウルの動く城では人が人としてあるために持つ心、そういう流れだと思う。


人が人でいるために持つ心、というコアな部分。そういうのが希薄になりがちな現代だからこそ、ソフィーという自分の心を持ち、ハウルを思いやるという一種のシンボルがハウルには必要だったんじゃないかなと思う。


追記:文芸ジャンキー・パラダイスの『ハウルの動く城』はなぜ素晴らしいのか

ソフィーがかけられた魔法は“本当に90歳の老婆になる魔法”ではなく、ソフィーの内面が容姿にあらわれる魔法だったのでは。だから魔法を解くにはソフィー自身が心の持ちようを変えるしかなかった』とあった!

うーん、こういう読み取り方もあったのか。