明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)より
- 広告とは、相手にラブレターを渡して、口説き落とすためのコミュニケーション。
- ネット出現後のブランドとは「消費者の中に長く維持される愛」のことを呼ぶ。
- 商品設計にコミュニケーション設計を内包させる。
- 広告は消費者が予期せぬ時に偶然を装って現れ出会うものだった。だからこそ認知させたいときによく効いた。これが基本的な広告の構造。
- 消費者が一番信頼するメディアは消費者自身。
- この商品の情報を伝えてもらいたがっている人をリアルに想像する。情報が溢れている時代だからこそ、消費者はニーズがあるときに伝えてもらわないとすごく損した気分になる。
モテない人がラブレターを渡す方法
- 相手の趣味や行動を調べ、よくよく観察し、相手の身になってみる。
- その上で相手の行動を先読みして待ち伏せし、確実にラブレターを手渡す。
- 他の楽しいことに目がいかないように、感動的なラブレターで口説く。
- 相手の友達にも気に入られるよう十分ケアする。
ラブレターを渡したあと
- ラブレターを渡したあと、脈がありそうなら、すかさずもう一押し。
- つきあいが始まったあとも気を抜かず、細やかに気を遣う。
- つきあっててもライバルは次々現れ、相手は友達と相談していることを忘れずに。
- 長くつきあうためには、イイトコロだけでなく、欠点も公平に見せていくこと。
短いつきあいと重いつきあい
清涼飲料水やお酒など数時間で消費してしまう、安価な商品
認知を重視したコミュニケーション。目立つこと、関心を持たせること、名前を覚えさせること。
ファッションや小型家電など数週間から数ヶ月、比較的お金がかかる商品
最適なメディアを選び、表現も工夫をこらす。ラブレターを渡したあとも大切だ。消費者の評価をきちんと気にし、長くつきあってもらう。
クルマ、高額家電、パソコンなど数年から数十年、高額な商品
ラブレターの表現にも渡し方にも最上級の誠意が必要。渡したあとのフォローもかなり重要。買った人の口コミも気にする。長く一緒に歩んでいくためには自分のすべてをさらけだす覚悟が必要。
変化した消費者を待ち伏せる7つの方法
1.消費者のコンタクト・ポイントで待ち伏せる
- コンタクト・ポイントとは、消費者の接触できるあらゆる接点のこと。
- 交通広告、モバイル、友人、該当、イベント、ビルボード、ポスター、店頭など。
2.新しいメディアを創って待ち伏せる
- いままでメディアと思われていなかったものを、アイディアによってメディアとしてしまうことをメディア・クリエイションと呼ぶ。
- 大きく育った街路樹の根元にシートを巻き付けて肥料会社のロゴを入れるなど。
- まさか広告に出会うとは思っていなかった場所にメッセージが待ち伏せているのは、消費者が広告をスルーしやすい現在、認知に非常に効く。
3.口コミを利用して待ち伏せる
渋谷109のトイレに服が写る鏡を置いておいて、その前に立つと、その服を着たように写る。これが誰かに伝わる。
4.CGMで待ち伏せる
待ち伏せだけではなく、今後は聞き上手になって彼らの意見を真摯に聞くべき。
5.エンターテイメントの中で待ち伏せる
消費者がわざわざ探して見に来たくなるようなコンテンツをプル型コンテンツと呼び、その中に広告を忍ばせることをブランデッド・エンターテイメントと呼ぶ。
6.検索結果で待ち伏せる
- SEOやSEMなど、AISAS。
- ただし、高齢者や子どもはAISASではなく、AIDMAだ。
7.メディアをニュートラルに考えてクロスに待ち伏せる
- 消費者に一番伝わるメディア、もしくはコンタクト・ポイントは何かを先入観なくニュートラルに考えてコミュニケーションの真ん中に据える。それを中心にしたら、ほかのメディアはそこに流入する経路と考える。
- 相乗効果を起こし、消費者がメディアをクロスして動くように意識してメディアを位置することをクロスメディアと呼ぶ。メディア・ミックスはすでにあるメディアを単純に組み合わせること。クロスメディアはコンタクト・ポイントを自由な発想で戦略的に組み合わせること。
チェックポイント
- ターゲットの行動を分析してコンタクト・ポイントをすべて抽出できたか
- そのコンタクト・ポイントがメディアになっていなければ、メディア・クリエイションで新たなメディアを創出したか
- それらすべてをメディア・ニュートラルに考えて、中心メディアを決めたか
- 消費者の動線や相乗効果を考えてクロスメディアに設計したか
- 商品はAIDMAかAISASか。AISASならそういう全体設計をしたか
- 検索対策は必要か。必要ならSEOやリスティング広告を考えたか
- 口コミを起こしたか。消費者をパートナーにできたか
- CGMを活用したか。UCCを活用できないか
- ブランデッド・エンターテイメントのようなプル型コンテンツは必要ないか
戦略PR
その商品を買いたい人を作り出してしまう方法。商品が売れる土壌や空気を先に作っておく(ピロリ菌など)
クリエイティブの必要性
- マーケティングがしっかりとしていてもクリエイティブは必要である。相手にしっかりとメッセージは届くが、それ以上の効果はない。それは広告ではなく、インフォメーションだ。相手の心を動かすことはできない。
- 消費者の心に何らかの価値変容を起こさないものを広告と呼ばない。
- 頭のスイッチを切った消費者でも受け取れるような、いい意味でフールな表現のほうが相手の心に届くのである。
これからのクリエイティブ作法
認知に徹すること
CMも本来の役割、認知に徹することができる。
よりプロポーショナルになること
エンターテイメントと消費者の参加を促すというところを内包する(例えば、アルゼンチンのプロバイダ。消費者が加入する度に1本の毛を植毛してくれる)
ありのままの自分を出すこと
あまり見栄を張らずに、最初からイイトコロもダメなところも誠実に公開する。
買ってくれた人をもてなすこと
消費者の役に立つ広告(例えば、NIKEとiPodのコラボ。NIKEを買ったあとに、ほかのランナーと競争やどれくらい走ったのかなどを見せてくれるサイト。商品のアフターサービスの位置づけ)。
買ってくれた人に参加してもらうこと
商品開発や改良、広告に参加してもらう。
明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)
- 作者: 佐藤尚之
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2008/01/10
- メディア: 新書
- 購入: 40人 クリック: 540回
- この商品を含むブログ (168件) を見る