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NPOやソーシャルビジネスの創業・経営・マネジメント

ボランティアを受け入れる側の事情。

たぶん、ボランティアやったことないんだろうな、泉ピン子って。もしくはボランティアを受け入れる側の気持ちは分かってくれないんだろうな。

Imaginary Lines - 強制的にボランティア(語義矛盾)
泉ピン子が提案した(という設定になっている)マニフェストは「若者は老人ホームでボランティアすることを義務化する」というもの。

一つはピン子が主張する「最近の若者はマナーや道徳がなってないから、ボランティアで高齢者と接することで何かを学ぶべきだ」というようなもの、もう一つは松尾貴史なんかが言ってた「これからは高齢化で介護の担い手が必要になるから」というようなもの(うろ覚えなので多少間違ってるかもしれません)。

1つ目の主張は、「一体、何が学べるというのだろう」という疑問を感じる。2つ目の主張は上記ブログに同意。特に言うこともない。


今までボランティアとして働いたことがあり、今はボランティアを受け入れる側にいる僕としては、ちょっとの期間ボランティアをやったからといって、それで何かを学べるかというと、そうでもないかなーと思う。ただ、社会福祉の分野に行けば、その現場をちょこっと垣間見えるくらいで。


ボランティアを受け入れる側としては、大体いつも人手が足りていないので、そりゃあ人がほしくてたまらない。有給スタッフを雇用するにはお金がかかるから、ボランティアというのは効率がいい。ただし、だ。そのボランティアが1年くらいの期間で継続的に来てくれることが前提だが。


ボランティアを受け入れる側というのも結構手間隙かかるものだ。

  • 介護してもらって、もしその介護される人に怪我させたら、どうするんだ?
  • つーか忙しいのに、誰がそのボランティアの教育係やるんだ?
  • そのボランティアの交通費はもちろん実費だよね?

という感じで。そのため、一定期間以上ボランティアとして継続的にやってくれるのなら、このへんの時間や労力は無駄にはならない。新入社員の研修と似たようなものか。


どこの高校かは忘れたが、トライアルウィークというのを実践していて、夏休みの一定期間に中高生が商店街の店やNPO、市民団体に仕事を体験しに来る。要は授業の一貫的な強制的ボランティア。そのときに僕が手伝っていた市民団体でも、2人か3人くらい来るらしく、その準備をしていた。


そうすると、その当日来たのはたった1人。なぜ?答えは簡単。サボりやがった。


こちらはわざわざ書類を書いて、その人たちのボランティア保険を加入させて、その人たちの保険料を自腹で払い、その上忙しいのに人手まで割いたんだ。それが、このザマ。それに加えて、その1人も全然働きはしない。ぼーと見ているだけ。


もちろん、こちらの受け入れ態勢もしっかりしていなかったと思う。ただ、強制的にボランティアをさせられている人たちが、その現場に来て、どれくらい学ぶ意欲があるのだろうか、それが疑問。そんなことなら、率直に言って、家で家事の手伝いでもやっていたほうが、その高校生の勉強になるし、家族内の株も上がる。一石二鳥ではないか。


それ以前に、ボランティアをやって社会勉強をしようと提言している人たちに一言言っておきたい。受け入れる側の苦労を知ってる?もし、知っているのなら、せめて多少でもいいから費用を負担してくれ。こっちだってその時間の人件費もろもろかかっているんだから。