Trans

NPOやソーシャルビジネスの創業・経営・マネジメント

Local Forces for Good

Forces for Goodは大規模なNPOをケーススタディとしたが、それを小さくても変化を起こせるNPOに適応した結果、いくつか導き出せた教訓。

1.リーダーシップを組織内のトップマネジメントだけではなく、ほかの組織やボランティアに求めていること
2.エバンジェリストを喚起するために、強い体験をボランティアやサポーターにしてもらう
3.ネットワークを強固にすること
4.アドボカシーをすること(金銭的、時間的な面で小さなNPOがやることは難しいが)
5.ソーシャルエンタープライズのように市場からお金を得られるようにする
6.適応力

ssir.org

誘発需要とは何か。

病院がないほうが死亡率が下がる! 夕張市のドクターが説く、"医療崩壊"のススメ | ログミー[o_O]

はてなブックマークで上記の記事が話題になっていましたが、コメントは意外と辛口。誘発需要という考え方であれば、このドクターが言っていることも一理あるのではないかと思います。

誘発需要(Induced demand)とはなにか。まず、Wikipediaを引っ張ります。

Induced demand, or latent demand, is the phenomenon that after supply increases, more of a good is consumed. This is entirely consistent with the economic theory of supply and demand; however, this idea has become important in the debate over the expansion of transportation systems, and is often used as an argument against widening roads, such as major commuter roads. It is considered by some to be a contributing factor to urban sprawl.

誘発需要とは、供給が増加したあとに、より多くの商品が消費されるという現象のことである。これは完全に経済学の供給と需要の考え方と一致している。しかし、この考え方は交通システムの膨張についての議論において重要になってきており、主要な通勤路などを拡張することに反する論拠としてよく使用される。スプロール現象の要因として考えられてもいる。

もうひとつ。Walkable City: How Downtown Can Save America, One Step at a Timeより。

Induced demand is the name for what happens when increasing the supply of roadways lowers the time cost of driving, causing more people to drive and obliterating any reductions in congestion.

誘発需要とは、車道の供給量を増やすと、運転にかかる時間的コストが低減され、結果的により多くのひとが運転することになり、交通渋滞を軽減させる効果をなくしてしまうことだ。

通常は需要が先にあってそれを供給が満たすというのが基本的なモデルですが、誘発需要は全く逆のことが起こり得るということです。供給を増加させるほど、需要が拡大するということです。

交通システムのことだと、ある道路が毎日渋滞するとします。そのため、行政が道路の車線を増やしました(供給)。すると、渋滞が緩和するどころか、もっと多くのひとが自動車で通ることになり(需要)、結果的に渋滞は緩和されないということが起こり得ます。

これはもちろん都市計画についての話ですが、医師誘発需要という考え方も提起されています。意思誘発需要については詳しくないので、それについての論文のリンクを貼っておきます。

Theory of Change(セオリーオブチェンジ・変革の理論)入門

アメリカのNPOはTheory of Change(セオリーオブチェンジ・変革の理論)をめっちゃめっちゃ大事にします。ただ、なぜか、日本にはセオリーオブチェンジが輸入されていないので、The Aspen InstituteのThe Community Builder's Approach to Theory of Changeの触りだけを翻訳したので、公開しておきます。

文面だけではわかりづらいので、実例を見てもらうと分かりやすいかもしれないです。

以下、本文。

追記(2016年11月20日):Theory of Change(セオリーオブチェンジ・変革の理論)の作り方 - TRANSを書きました。

セオリーオブチェンジを理解するための用語の定義

  1. pathway to change(チェンジマップ):長期的なゴールを達成する上での与件として考えられるさまざまな種類の成果の関係性を説明するもの
  2. indicator(指標):成果を測定するために、明確に定めないといけない
  3. intervention(アプローチ):チェンジマップで定められた与件を満たすために使われるもの
  4. assumption(思い込み):あなたの団体のセオリーオブチェンジが本当に機能するのかを説明できないといけない

セオリーオブチェンジをつくるための流れ

1.長期的な成果を明らかにする
  • すでに団体で実施している洗練されたプログラムであったとしても、そのプログラムの最終的な目標についてスタッフの間で意見や考えが異なることもある。
  • 可能な限り明確なものをつくること。「若者のためにさまざまなサービスを提供する」など、あいまいなものを作ってはいけない。
2.チェンジマップをつくる

このタスクのゴールは、長期的なゴールに向かって進んでいく上で影響するさまざまな与件を、チェンジマップの中に落とし込んでいくことだ。考慮するべき点は次のことである。

  1. すべての与件を状況・環境・結果として描くこと。「私たちは〇〇をする」のような行動をこのステップでは書いてはいけない。
  2. 団体のプログラムの詳細をマップに書く必要はない。これはあくまで骨格である。
  3. マップは遡りながら書いていく。最初に考えるべきことは、団体が最終的な目標を達成するためには、社会がどのような状態になっていないといけないのか(=与件)である。自らのプログラムや事業から考えてはいけない。
3.成果を機能させる

チェンジマップの与件を達成するためには、次の質問に答えられなければならない。「成果を上げたと証明するためには、どのようなエビデンスが使えるだろうか」この質問の答えが、進捗状況をチェックし、成果を実証するための指標になる。

指標をつくるための考え方

  • 与件における成功とは、どのような「指標」で測れるだろうか。
  • 誰が、または何が変わってほしいのか(両親、コミュニティの子どもたち、先生、学校など)。その集団があなたにとっての「ターゲット集団」であり、指標を用いて追跡しないといけない。
  • その指標では、ターゲット集団の現在の状況はどのようなものか。これが「基準値」である。
  • 成功したと言えるようになるためには、ターゲット集団がどれくらい変わらないといけないか(それとも少しの変化でも十分だろうか)。これが「しきい値」であり、成果を上げたと言えるようになるためには、その値を超えなければならない。
  • ターゲット集団がしきい値を超えるようになるまでには、どれくらいの時間がかかるだろうか。これが「タイムライン」であり、指標に関するデータを収集し、いつ成功と見なすかを定義づけるものである。
4.アプローチを決める

チェンジマップの成果を達成するための、プログラム、施策、行動を決める。しかし、細かい戦術や改善は議論しないこと。

5.思い込みを洗い出す

団体のメンバーが当然だと思い込んでいることを洗い出す。

  • チェンジマップにおける成果を上げるために、それぞれの与件は本当に必要なのか。長期的な成果を達成するために、今まで考えてきた与件で十分なのか。
  • ターゲット集団やコミュニティに対して、団体のプログラムと成果がきちんと結び付いていると社会科学的な理論から説明できるか。
  • 団体が活動する環境や今までのコンテキストは反映されているか。地域経済、人種問題、交通事情など。