盲ろう者のアクセシビリティ
(社福)全国盲ろう者協会が昨年度出版したマニュアルを元に盲ろう者へのアクセシビリティをまとめておきます。
出版物の紹介
ご存じの通り(?)、僕はNPO業界にいるためか、こういう情報がどこかしらから入ってきたりします。社会福祉法人全国盲ろう者協会が出版した報告書とマニュアルを紹介します。
僕には盲ろう者の知り合いがいないので、盲ろう者向けのアクセシビリティとはどんなものなのか見当もつかなかったのですが、この報告書のおかげで朧気ながらイメージできました。といっても、この報告書はアクセシビリティではなく、盲ろう者にどのようにパソコン指導をすればよいのか、ということがメイントピックなのですが。
さて、そもそも盲ろう者とはどういう障害を持つ人のことを言うのか。Wikipediaによると、
盲ろう者(盲聾者、もうろうしゃ)とは、盲ろう(英:deafblindness、deaf-blindness、deaf/blindnessとも)である人のこと、つまり視覚と聴覚の重複障害者のことを指す。「視聴覚二重障害者」「ろう盲者」と呼ばれることもある。
ということみたいです。そのような障害を持つ人たちがどのようにパソコンやネットを使うのか。そんな疑問にこの報告書は見事に答えてくれました。
報告書の中から僕が重要だと思ったことを箇条書きにしておきます。
盲ろう者のPC、ネット利用の状況
- 盲ろう者312人中135人がPCを保有、ネットに接続しているのは85人、メールは91人が利用(平成16・17年度生活実態調査報告書から)。
- パソコンやインターネットの利用については20歳前後にピークがあり、高齢者層になればなるほど利用率が低下する。
- 盲ろう4種別(全盲全ろう、全盲難聴、弱視全ろう、弱視難聴)での差異はあまりない。
- 盲ろう者312人中40人が点字ディスプレイ、69名が画面拡大、36名が音声読み上げ、47名が画面の文字や色を変えて使っている。
- 全盲ろう者がWebサイトを閲覧する場合、点字ディスプレイと画面上の文字を点字ディスプレイに表示するスクリーンリーダーを使うことが多い。国産の点字ディスプレイ+XPReader(スクリーンリーダー)+Internet Explorerという環境。
- ただし、初めてアクセスするページでは多くのテキストを読み、レイアウトを把握する必要がある。
- 最近注目されているのがサーチエイドというソフト。サイト上の情報をキーワードで検索するとその結果をテキストで表示できるというもの(イメージとしてはFxの検索バーをより強力にしたようなイメージ?)。