垂直スクロールバーを左側にしたい!(CSSではなく、アクセシビリティの話)
垂直スクロールバーは一般的にユーザの右側にあります。でも、左側にあったほうがアクセシブルなときもあると思います。
文末ではてブのコメントに返答しました。(2008年6月15日1時35分)
肢体不自由者の操作の困難さ
一般的にページを縦にスクロールしたいときは垂直スクロールバーを使うことと思います。そして、そのページから1つ前のページに戻るときはブラウザやソフトウェアのツールバーにある「戻る」などをクリックすることと思います(使い慣れた人はキーボードかもしれません)。
そのときはこんな感じのマウスポインタの移動になります。
これをマウスを使って移動すれば一瞬の出来事です。しかし、マウスを使えない肢体不自由者の場合はそうではありません。例えば、下記のような支援機器を使う人の場合はどうでしょうか。
僕はこの数ヶ月の間にこういった支援機器を使う人たち(顎や舌でマウスを使う)にパソコンを教える機会がありました。障害を持つ人たちにとって、長時間パソコンを操作することや何度もクリックすること、そしてマウスポインタを動かす距離が長いということはアクセシブルではないということです。単純に言えば、パソコンの操作に疲れてしまうのです。
特に、何らかの作業をするためにページを行ったり来たりしないといけないソフトウェアやユーザビリティが高くないWebサイトの場合は、
- 垂直スクロールバーを下に動かす
- お目当てのコンテンツが発見できない
- 「戻る」をクリックするためにウィンドウの右下から左上まで移動する
- 再度、垂直スクロールを動かすために右下にマウスポインタを移動する
という動きが延々と続き、肢体不自由者にとって非常に大きな負担になります。
垂直スクロールバーを左側にする
もちろん、ソフトウェアやWebサイトのユーザビリティを高くすれば、このような負担は軽減されるかもしれません。しかし、この問題はそんなややこしいことではなく、単にマウスポインタの移動距離を短くすれば解決できるはずです。
そこで、垂直スクロールバーをいっそのこと左側にしてしまえばどうか、と提案したいと思います。正確にはソフトウェアやOSのオプションに垂直スクロールバーを左側にするというのを付け加えてほしい、ということです。
すべてのソフトウェアを一括で左側にしてしまうと一般ユーザの混乱が必至ですので、あくまでオプションとして付け加えてほしいと思います。僕がざっと調べた限りではこのようなオプションやそれを実現するソフトウェアはありませんでした(もしや、Emacsはできるかも?)
左利きの人にとっても便利かもしれない
右利きの人がマウスを右手で扱い、右側の垂直スクロールバーをクリックして画面をスライドさせるというのはアフォーダンスの観点から理に適っています。しかし、左利きの人にとっては右側の垂直スクロールバーと左手がクロスしてしまっており、ちょっと違和感を感じてしまうように思います。
これは僕が右利きなのであくまで憶測なのですが、垂直スクロールバーの左右を選べることは肢体不自由者だけではなく、左利きの人にとってもユーザフレンドリーになると思います。
はてブコメントより
id:f-shinさんからのコメント:
確かにこれはやってみる価値はありそうですね。僕が教えた人たちはキーボードで文字が入力できないため、スクリーンキーボードというのを使っていました。このキーボードの中にPage UpやPage Dnがあります。また、Back spaceのうまく使えばブラウジングの短縮にはつながりそうです。
いろいろな人からのコメント:
CSSやブラウザ、言語等によってスクロールバーが左側になる状況は確かにあります(Firefox3は驚きでしたけど)。ただ、それが常に自分が望んで作り出せる環境ではないのが難しいところです。Aというソフトならば左側にできるし、Bはできないというのであれば、ユーザの操作の経験が一定にならず逆にパソコンが使いにくくなるのではないかという懸念があります。