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NPOやソーシャルビジネスの創業・経営・マネジメント

ソーシャルビジネス革命/ムハマド・ユヌス

 

ソーシャルビジネスとは

・目的は、ビジネスの手法を用いて社会問題を解決する

・種類は2つ。社会問題の解決に専念する「損失なし、配当なし」の会社で、オーナーはすべてビジネスの拡大や改善に最投資する。
 貧しい人々が所有する営利会社。直接所有もあれば、特定の社会的目標に専念する信託機関を通じて所有する。
・投資家は一定期間後に投資の元本のみを回収する。
・寄付に頼るのは、組織の持続可能な運営方法とはいえない。ソーシャルビジネスと慈善団体がそれぞれ人々の不幸をどう、どの程度まで緩和するのかを知らないといけない。ただ、私たちのほとんどは生まれつき持っている才能を引き出すことが大事だ。
 
ソーシャルビジネスが投資家に配当を渡さない理由
1.倫理的な理由。貧乏人を相手に商売するのは非道徳
2.圧力にさらされると、利益は必ずほかの目標より優先される
3.制度的な理由。従来の企業とは異なるということを定義する必要性
 
起業の教訓
・柔軟に考えること、ただし根本的な目標を見失わないこと
・相手の文化を身を投じること
・できるだけ協力者の助けを借りること
・市場に応じた機会を活用すること
・思い込みを疑うこと
まず機能するモデルを築き上げ、検証や改良を行い、状況の変化に応じて見直す。モデルの有効性が明らかになったら、サービスの提供地域を広げていく。
 
ソーシャルビジネスを始めるために
・解決するべき社会問題を選び出し、ビジネスの力で解決する方法を探す
・まずニーズを見つけ出し、自分の才能や能力と照らし合わせる。何を変えたいのかがわかったら、その根本的な課題を探る。
・自分が有する技術、能力、予算などをなるべく活かして、今いるところから始めよう。
・ニーズを明らかにする際は、やたらに複雑化させないこと。さまざまな研究を持ちだしてははならない。
・目標を明確にする。その目標の担い手となる商品やサービスを探る。「五人の貧しい人になら、仕事を与えられるのではないか」
・今までの事例を研究し、成功例と失敗例を調べよう。サービスの受益者と時間を過ごし、関心やニーズを引き出そう。
・ビジネスモデルがうかんだら、次は検証だ。「小さなパイロットプロジェクトを実施するにはどうすればよいだろう」
・小さな計画からすぐに実行する。小さな基本部品をいくつも設計し、それらを組み合わせる。
 
ソーシャルビジネスの視点
・生産性や市場アクセスを改善する
・雇用を創出する
・消費者を支援する
・起業家精神を引き出す
・生活に安定をもたらす
・インフラを普及させる
・富裕層のテクノロジーを貧しい人々に適応させる
・技術的な解決策を通じて持続可能性や環境を向上させる
 
パートナー会社とともに
・ソーシャルビジネスを正確に理解してもらうこと
・ビジネスコンセプトを協同で議論する。
・このあたりはゆっくりと前に進むこと
・できるだけ多くの予備情報を集めるべきだが、いったん集め終わったら、思い切ってひとつかふたつを実験するべき。
 
事業計画のポイント
商品サービス、その提供方法、対象顧客、顧客数、顧客の購入時の判断基準、顧客が支払える金額、競合相手、商品のマーケティング、開始に必要な初期投資額、必要経費の月額、成長に伴う経費の変動、設立から1か月間で期待できる現実的な売上高、この数字に基づき損益分岐点を超える時期、設立資金の返済期間
ソーシャルビジネスで加わるポイント
社会的目標、社会的利益、ビジネスで恩恵を受ける人達がビジネスの計画や開発にどう参加するか、成果の測定方法、半年後(1年・3年後に)実現する社会的目標、成功した場合の普及・拡大方法、商品に付加できるそのほかの社会的利益
 
途上国展開の原則
命にかかわる商品(金融や医療など)を先進国の裕福な人々と同じ品質で発展途上国の貧しい人々に届けるにはどうすればよいか
 
大企業の場合
・早めに仲間を何人か集めること
・周辺事業ではなく、中核事業を発想の源にする
ソーシャル・ビジネス革命―世界の課題を解決する新たな経済システム

ソーシャル・ビジネス革命―世界の課題を解決する新たな経済システム

  • 作者: ムハマドユヌス,岡田昌治,Muhammad Yunus,千葉敏生
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/12/22
  • メディア: 単行本
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