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NPOやソーシャルビジネスの創業・経営・マネジメント

NPOの代表者はなぜ給料をもらいにくいか

ある程度のスタッフ数や事業規模があるのに、代表者が給料を十分にもらえていないというケースをたまに聞く。稀な事例かと思っていたが、そうでもなさそうだ。

あまり表立っていなかったのは、給料をもらうがそのまま団体に寄付・融資したり、講演や別の仕事で稼いでいたり、昔荒稼ぎしたお金が手元に残っていたり、パートナーが稼ぐので給料を必要としてなかったり、まあ、いろんなパターンがあるからだろう。代表者が給料をもらえないことを他団体やメディアに嬉々として語るわけでもないだろうし。

これはボランティア団体の話ではなく、全国的にも名前が通りそうなソーシャルビジネスで聞く話である。

なぜ、代表者に給料が出にくいのか。もしくは、きちんと出せてる団体とはなにが違うのか。そのひとつは、団体の適性規模にありそうだ。

NPOの専門性は属人的なものが多く、そのサービスに規模の経済が働きにくい。そのため、スタッフ数が五人くらいで代表者も現場にいないとまわらない規模の場合は、現場にいなければならないことでむしろ給料が支払われる。

ただ、スタッフ数が十名前後になると、代表者は現場にいるより、全体のマネジメントをしないといけなくなる。現場から離れることでサービスを提供できなくなり、ほかのスタッフの利益の一部から代表者の給料が支払われる。

もとよりNPOが扱うサービスの利益率は低いことが多いので、代表者の給料までをカバーできないことが往々にしてあるようだ。十名前後の規模になると、管理部門のスタッフも必要となり、それも利益を食うのだろう。

この十名前後というのは実感値なので、あまり理論的なものではない。そのNPOのサービス形態や利益率に引きずられるようだ。

また、サービスを多角化してるほうがこの傾向は出やすい。スタッフ間でのシナジーが生まれにくく、それもまた規模の経済を働かせにくくなるので利益率の低下につながる。ただ、制度系事業は管理者という形での給料の支払われ方が法律で明確なので、この課題はそれほどなさそうだ。

このあたりから思うに、ポイントは規模の経済をどう働かせるのかだ。

1.ビジネスモデルを設計する際に、ボランティアだけで運営できるくらいのマニュアル化をあらかじめ組み込んでおく
2.安易な多角化やスモールステップマネジメントはやらない。選択と集中

あたりが解決策だろうか。そもそも、

1.規模を追わない。代表者が現場で働けるくらいの規模に留める。経理や総務は自分でやる。
2.NPOで給料をもらうことは初めから考えない(笑)別の仕事を同時に持つ。

という元も子もない考え方もある。