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オープンソースなCRMソフト - MPower Open

NPOにとってデータベースというのは何度言っても足りないくらい重要なものです。同時にどのツールを使えばよいのかも非常に大事です。

オープンソースCRMソフト - MPower Open


つい最近、海外のWebサイトをウロウロしているとこんなソフトウェアを見つけました。MPower Openというもの。何かというと、オープンソースCRMソフトウェアとのことです。

CRM(Customer Relationship Management)とはIT用語辞典によると、こんな意味です。

情報システムを応用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法のこと。詳細な顧客データベースを元に、商品の売買から保守サービス、問い合わせやクレームへの対応など、個々の顧客とのすべてのやり取りを一貫して管理することにより実現する。顧客のニーズにきめ細かく対応することで、顧客の利便性と満足度を高め、顧客を常連客として囲い込んで収益率の極大化をはかることを目的としている。

分かりにくい概念ですね。これをNPOの現場に当てはめてみて考えます。

NPOには多くのステークホルダーがいます。会員、サービス提供者、その利用者、地域、寄付者、行政、企業などですね。そういったステークホルダーとはやはり良好な関係性を保たないといけません。また、スタッフや理事会の中でその関係性がどういったもので、どの事業に関係していて、またその特徴なども共有しておく必要があります。しかし、そういった多種多様な関係性を良好にしておくのは時間も手間もかかります。

そこで、ITの登場です。うまくITツールを使って、顧客との関係性を築いていこうという考え方です。そのITツールがこのMPower Openというもの。

CRMのソフトウェアは通常高価なものですが、このMPower Openはオープンソースウェアとして提供されています。要するに原則として無料。その上、NPO向けということで、ファンドレイジングなどもがっちりできると謳っています。なかなか画期的なソフトウェアですね。

そもそもステークホルダーの名簿はあるか?


さて、ここでMPower Openをインストールしてレビューしようと思っていたのですが、System Requirementsのページを見るとなんだかインストールがややこしそう。というか、SQL Server 2005とか自分の手元に置いていないし、と思ってレビューは諦めました。OSSはインストールまでは洗練されているものが多くて苦労しないものなんですが…。

その一方で、MPower Openを有料でインストールなどを代行してくれるサービスも行っています。うまい商売のやり方ですね。Supportのページの下部にその記述。大規模のNPOなら一度試してみてもよいソフトウェアかもしれません。

ただ、僕がここであえて疑問を提示しておきたいのは、どれだけのNPOが手書きでもExcelでもよいので、ステークホルダーの名簿をちゃんと整備しているのか、ということ。知り合いのNPOでは自分の正会員数さえちゃんと知らなかった団体がありました(ちなみに正会員は総会における議決権を持っている)。うーん、まあそれってどうなのよ、という感じではあるんですけど。

こういったCRMのソフトウェアを使うことも大事なんですが、まずは自分の手元にあるステークホルダーの名簿がどのように整備されているのかを確認することも大事だと思います。