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NPOやソーシャルビジネスの創業・経営・マネジメント

途上国の人々との話し方/和田信明・中田豊一

 「朝ごはんはなにが好きですか」 好み・感情

「朝ごはんはいつも何を食べますか」 思い込み・考え・意見
「朝ごはんは今日はなにを食べましたか」 事実
 
Where, When, What, Who 事実を聞く
How 事実を聞く場合もあれば、考えを聞くことも
Why 考えを聞く
→ Where, Whenを特定できれば事実とみなされる
 
○事実質問
心得
1.セルフエスティームが上がるような話題をみつける
2.事実質問に徹する。人は自分に関心を持って事実を聞いてくる者にこそ心を開く
3.提案しない、助言しない、信じて待つ
4.考えさせるな、思い出させろ
5.相手が簡潔に、かつ心理的にも抵抗なく答えられる質問をする。相手の立場に立って考える
 
基本的な質問
いつ、どこで、なに、だれ、などのように単純な疑問視を使って質問する
「~をしたことがあるか」経験を尋ねる、「~を知っているか」知識を尋ねる、「~があるか」存在や何かの有無を尋ねる
 
具体的な流れ
1.セルフエスティームが上がるようなエントリーポイントをみつける=道具をほめる 信頼関係を築く
2.相手の課題が上がってきたら、課題を整理する=それは本当に問題なのか
 ①一番最近その課題が起こった(顕在化した)のはいつか
 ②それがどこでか
 ③どのように誰が困ったか
 ④今までどんな対処をしてきたか
 ⑤それが一番最初に起こった時のことを覚えているか、いつ、どこで
 *「本当にそれは問題ですか」と聞いてはいけない
3.解決方法を探る
 ①類似の課題を以前に解決した経験を思い出してもらう
 ②身近な他者の類似体験に学ぶ
 
ポイント
・知りたいことをそのまま聞かずに、簡単な事実質問を組み立てて、具体的かつ詳細に聞いていく
・ある方向に話をもっていって先に進めなくなったときは、後戻りして再出発できる話題(リカバリーポイント)を対話の途中で設定しておく
 
練習
1.いま、私がしようとしている質問は、「事実」「考え・意見」「感情」のどれなのかを意識しながらやり取りする。他者からの質問や他者同士の会話も同様の観点で観察する
2.身の回りの「もの」を取り上げ、30個の質問をつくる。まず、質問をつくり、その回答も考える。
3.家族、友人にお願いして、インタビューする。エントリーポイントしての「もの」から「これは何ですか」などで入り、さまざまな事実質問をつなげていく
4.具体的に解決したい課題や相談で実践する
 
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プロジェクトの5つのステージ
1.パートナーの構築
2.コミュニティに基づいた課題の分析
3.行動計画づくり (Action PLan)
4.事業の実施とモニター
5.評価とフィードバック
 
貧困の正体と近代化のコンテキスト
・企業が村に入ると、ライフスタイルと生活様式の変化が進む。それにつれて、伝統的な2つのセーフティーネット、相互扶助と自然資源の両者が衰退し始める。その変化に対応できたものはよいが、対応できないものはセーフティーネットを失い、貧困状態になる。
・現金収入の必要性が高まることで生活様式が変わり、セーフティーネットが崩壊することの間には強い相関関係、必然性が存在し、それがある程度進んだところで村人の貧困化が起こる。
・仕事を求め都市に行き仕事があればよいが、なければスラムの住民になるしかない。
 
コミュニティでトレーニングしないといけないこと
・資源をマネージする能力=資源についての知識
・経済を発展させる能力=資源を活用する能力
・ガバナンスにかかわる能力=資源の利用をいかに住民が制度的に支えていくか
 
トレーニングの内容
①これまでの知識、技術を言語化し、すべてのステークホルダーで共有すること
②その結果を踏まえて、新たな知識を導入すること
 
ファシリテーターの役割
プロジェクトの節目節目にその内容をほかの人たちと共有してもらう。そうすることで、参加者は自分の知識の過不足を知り、もっと知りたいからトレーニングしてくれという欲求がでる。このサイクルを生み出すこと。
 
 
・収入向上事業は一つの国というくくりでみると、どの地方でもどの村でも一様に同じメニューをやっていることが多い。しかし、この事業はプロジェクトが終了すると、継続されない。なぜなら、受益者のもともとの経済活動よりも儲からないから
・マイクロクレジットの最大の利点は、その日暮らしの人々のキャッシュフローを助けること
・どこのスラムや農村に行こうが、援助慣れした人々と相対するのは確実。彼らの存在なしでは、こちらの商売にならないことも彼らは知っている。
・ボトムラインは老人であり女性である
・予算こそを作らないと、村人のオーナーシップはありえない
・住民参加型のプロジェクトでお互いにパートナーになれる資格ができるのは、プロジェクトの最後だ。住民が移転されるべき知識や技術を身につけたとき。
途上国の人々との話し方―国際協力メタファシリテーションの手法

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