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フューチャーセンターの類型化

昨日、京都府が主催するフューチャーセンター視察報告会に参加してきました。フューチャーセンターは何となくのイメージがあるものの、実態がよくわかっていませんでしたが、今回参加したことでちょっとこんな感じなのかなという雰囲気が掴めました。

定義

フューチャーセンターの定義を自分なりに書くと、

  1. 何らかの課題や目的を達成するために設置される
  2. 具体的な、物理的環境がある
  3. それをサポートする組織的システムがある

この3点を満たすものをフューチャーセンターと呼べるようです。ややこしいのは、フューチャーセッションと呼ばれる物理的環境を持たない形式が日本では独自発展しており、それが定義をややこしくさせているのかなと感じました(フューチャーセンターとファシリテーションの違いなど)。

類型

フューチャーセンターは、目的別に次の3つに分類できると思います。

  1. 大規模な組織の社内コミュニケーション促進
    元々のフューチャーセンターの出発点。ナレッジマネジメントの研究者が提唱したことからもここが出発点だと感じます。導入は銀行や政府機関などお固いところ。こういった組織が、Googleなどの遊び心あふれるワークスペースを導入し、クリエイティブを組織に導入することを目的に作ったんじゃないかと思いました。ただ、いきなりGoogleワークスペースを導入しても機能しないわけで、そこでファシリテーターやカルチベーターを設置したのではないでしょうか。
  2. インキュベートオフィスの付加的機能
    これは分かりやすいですね。SOHOやノマドワーカーが集まるインキュベートオフィスにフューチャーセンターを内包することで、そこで働く個人同士のコラボを促進するもの。これが一番導入しやすいのかも。そういう意味では、HUBもフューチャーセンターの一種かな。
  3. 公共施設や政府機関などにおけるステークホルダーの利害調整
    オランダなどの事例を見ると、政府機関がフューチャーセンターを導入していることがわかります。それも国税や国交省などです。その役割を考えると、政府と市民が何らかのコミュニケーションをしなければならず(都市計画など)、その場を円滑に進めるためにフューチャーセンターを設置したと考えられます。

まとめ

このようにまとめると、基本的には従来からの資源をうまく利活用するために、それらに関係するアクターがより適切な形でコミュニケーションできるようになる場をつくるというのが、フューチャーセンターだということがわかります。

ただ、難しい点が1つあります。それは、フューチャーセンターの成果指標の設定です。利用人数だけで定量評価はできないし、またそこで生まれたアイディアをもって定性評価も難しいですよね(立証できないので)。

基本的な理念はわかるものの、既存の組織、特に日本の政府機関での導入は非常にハードルが高いのではないかと感じました。ハコモノと批判される恐れもありますし。日本では大企業やインキュベートオフィスが導入しながら、徐々に広がっていくというのが現実的なのかもしれません。