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NPOやソーシャルビジネスの創業・経営・マネジメント

NPO向けWebサービスを運営する皆様へ

現在の日本のNPO業界を考えると、NPO向けWebサービスは一部を除いて成り立たないと思います。

インターネットでソーシャルベンチャー?で紹介したみんなの闘病サイト オンライフというWebサービスが早々と終了してしまいました。これは、純然たるNPO向けのWebサービスではないのですが、難病や障害を持つ周りの人たちから、このサイトを使っているということはついぞや一度も聞かれませんでした。

周りのNPO関係者と話していても、ちょくちょく立ち上がるNPO向けのWebサービスの話を聞くことは全くありません。NPOに携わる多くの人たちの関心事は、今でも自分たちのWebサイトやブログをどのように運営するか、なのです。

なぜNPO向けWebサービスは上手くいかないのか。


理由はいくつか考えられます。

  • 都道府県から認証を受けてNPO法人は設立することができます。そのため、多くのNPOは、都道府県を1つの範囲して念頭に置き、行動する傾向があります。そのため、日本全国を対象とするようなWebサービスにはなかなか関心が向きません。

  • そのサービスを知らないことだって多いです。普段からネットを日常的に使う僕たちとは違います。すごく便利なWebサービスであったとしても、知ってもらわねば意味がありません。

  • 英語圏と比べて、日本語圏は相対的に人口も少なく、NPOスタッフの数も多くありません。母数が多くないという理由も考えられます。

  • 英語圏では徐々に形になりつつあるオンラインファンドレイジングは日本では当分先のことでしょう。日本では寄付がまだ浸透していません。


と、まあ、マイナス要因を考えるといろいろとあるわけですが、「成功した」と言えるようなWebサービスにNPOで働く僕もまだ出会ったことがありません

NPOがWebサービスに望むことは何だろうか。


例えばこんなことでしょうか。

  • 迷惑メールが少ないメールアドレス(Gmailがおすすめですね!)

  • 自由に使える写真(Flickrとかどうでしょう!)

  • 簡単に安くホームページが作りたい(ブログやGoogle Sitesってのがありますよ)

  • イベントの集客がしたい(地域が限定されるイベントであれば、今はWebサイトよりもチラシのほう効果が高いと思います)


というふうに考えていくと、NPOのニーズを満たすようなWebサービスというのはあまり多くないのでしょう。それよりも、洗練された評価の高い一般のWebサービスを使うことのほうが便利なことが多いのです。

NPONPOスタッフといっても何も特別なわけではありません。ほかの社会人の方々と同じように「流行っている」Webサービスを使うものなのです(口コミやメディアで知るきっかけが多いのだと思います)。YouTubeはもちろん知っている、Gmailはちょっとネットに詳しい人たちが使い始めた。そんな感じなのです。

それでもこの分野で成功するかもしれないこと。


今のNPOに足りていないことをあげてみると、

  1. カネ

  2. ヒト


この2つといっても過言ではありません。そういった意味では、オンラインファンドレイジングやボランティアマッチングのWebサービスが英語圏で次々に立ち上がるのも納得できます。ただし、この2つを日本で成功させるためには、何らかの工夫(ローカリゼーション)が必要だとは思います。

個人的には、キャンペーンやアドボカシーを作成するときに、瞬時に且つそれなりの見栄えでWebサイトを立ち上げられるWebサービスは今すぐほしいと思っています。Google Sitesでできるだろうかと思っていたのですが、意外と使い勝手が悪かったものですから。

そんなわけであまり「NPOだからこんなWebサービスが必要だろう!」と考えてもらうよりも、まずはWebサービスを普通に成功させて、その上でNPO向けプログラムなどを作っていただけるとありがたいなと思ったりしています。