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NPOやソーシャルビジネスの創業・経営・マネジメント

Webサービスを運営するための計画づくり

NPOがWebサービスを運営することの意義は分かります。しかし、その重要性や責任はもっと実感しておくべきなのかもしれません。

大流行のブログサービス


僕の身近な中間支援系のNPO法人が財団の支援を受けて、NPO向けのブログ系ポータルサイトを運営すると聞きました。どうやらブログのホスティングができるサービスらしく、中間支援の強みを生かして、Webサイトを持っていない周りのNPOに利用を促しているようです。

僕はこの流れは大歓迎です。そもそも論として自分の団体のWebサイトくらいは持っておかないと情報発信はやはり難しい。もちろん、サイトを持つことにより、Webやインターネットというメディアへの感性を育ててもらうということもあります。

NPO系Webサービスのリニューアル?


ところで話は変わりますが、最近海外で有名なボランティアマッチング系のサイト、VolunteerMatchがリニューアルされ、注目を集めました。

Nonprofit Marketing: Getting Attention Blogによると、主に以下の点が変更されたとのこと。


  • サイト内検索の改善

  • CGM的なNPO活動に対するレーティングとコメント機能の実装

  • RSSフィードの提供


日頃から使っているサイトというわけではないので、リニューアルされたことによる使い勝手等の比較はできないのですが、うまい機能の追加だと思います。ただ、僕が思ったのは違うこと。

上で紹介したように、NPOにとってもWebやインターネットは一般的になったからか、ブログのホスティングやボランティアマッチングなどのサイトを運営するという事業計画で助成金を得てるNPOは少なくありません。しかし、新しく始めた!という話はちょくちょく聞くのですが、一方でリニューアルされたという話をまったく聞きません。

この理由はある程度憶測がついていて、事業計画の段階では次年度以降の収益源を広告収入などで賄うつもりが、それがうまくいかず、結局運営するだけで精一杯。自己資金によるリニューアルは難しい。しかし、新しい助成金を引っ張って、リニューアルに当てるというのも難しい。結果、サイトは生き残っているが、改善されないまま。

サイトを運営するNPOにとってはそれほど問題ではないかもしれません。やめればよいだけですから。しかし、そのブログポータルで登録している地域のNPOはどうするんでしょうか。ほかのサイトに引っ越しするのですか。そのコンテンツはどうしましょう。せっかく得たページランクはどうしましょうか。

それ以外にもあります。今は確かにブログは一般的なツールです。それでもできてきたのはこの4年ほど。では、ブログが廃れてきた場合にはどうするのか。新しい形態のWebサイトが勃興した場合にその乗り換えのサポートはできるんでしょうか。

Webサービスを展開するという責任と計画づくり


Webサービスを展開するということは、ほかのNPOの情報発信力という資源を自分たちに預けてくれ、というわけですから非常に大きな責任を持たないといけません。しかし、あまりにもその点が検討されず、ページビューが増え、それが収入になり、その資金で運営するというのを軽く考えすぎているのではないでしょうか。一昔前のネットベンチャーではあるまいし。

僕はNPOがWebサービスを運営することに何も疑問はありません。しかし、もしやるのであれば、しっかりとした地に足のついた計画を立てた上で実行してほしいなと思うのです。