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NPOやソーシャルビジネスの創業・経営・マネジメント

快適なインターネット環境は権利である。

いやいや、どこかの圧力団体の話ではなく、いたって本気な主張です。では、そんな主張をしているのは誰なんでしょうか。

Internet for Everyoneの政策提言


答えはアメリカのある団体です。確かに、アメリカのブロードバンドの普及率は日本などに比べるとあまり高くありません(アメリカのブロードバンドの平均速度は1.97Mbps、他国を下回る - GIGAZINE)。そのためか、こういった主張が出るのも頷けないわけではありません。

ちなみに、これはアメリカのInternet for Everyoneという団体が主張している内容です。要約しておくとこんな内容です。

To make sure every American can benefit from the new economy and guarantee all citizens play an active role in our democracy, our nation must embark on a national campaign to connect every American to a fast, affordable and open Internet. The InternetforEveryone.org initiative calls on Congress and the president to act in the public interest by enacting a plan for the wired and wireless Internet built upon the following principles:

すべての市民がニューエコノミーの中で役割を果たすためには、国家はすべてのアメリカ人に速く、快適で、オープンなインターネット環境を提供しなければならない。InternetforEveryone.orgは議会と大統領に次の原則に従った有線・無線のネット環境の実現を求めていく。


日本ではちょっとあり得ない主張かもしれませんね。でも、この団体は本気のようです。その構成団体を見てみると本気の度合いがわかります。

など、ほかにもあわせて約50団体。うーん、圧巻ですね。

また、トップページには各州ごとにブロードバンドを使えない人たちの人数とその割合をFlashで掲載しています。使える人ではなく、使えない人たちを掲載するのが興味深いです。

アドボカシーをデザインする


これを単なる圧力団体のような行動とも捉えることはできます。しかし、これは立派な政策提言、アドボカシーだと思います。もしかすると、米国の場合はロビー活動のようなものかもしれませんが。

私たち、日本のNPOが学ぶべき点はそのアドボカシーのデザインです。例えば、トップページの巧みさとそのデータです。

先ほども書きましたが、トップページではブロードバンドを使えない人たちが米国内にどれだけいるのかを数字でわかりやすく表現しています。また、自分たちが提言する内容を4つの原則に分解し、わかりやすく掲載もしています。その上、RESOURCE CENTERというコーナーを用意し、徐々に統計データや報告書を公表し論理的根拠を固めていくようですね。

アドボカシーをデザインするということはアメリカには多くのノウハウがあります。今後、日本のNPO業界が行政などに政策を提言していく中で、こういった手法はやはり身につけておきたいものです。