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NPOやソーシャルビジネスの創業・経営・マネジメント

情報を重複させないサイト構造

強調したい情報がある、だから繰り返したい!でも、それってユーザビリティ・アクセシビリティは高くないかもしれないのです。

某視覚障害者のMLにて

普段はソフトウェアの使い方や近況報告のようなMLなのですが、たまに僕たちのようなサイト制作者にとっては興味深い投稿がされます。例えば、視覚障害者からのこんな内容でした。
JR東日本のメールでのお問い合わせが使いにくくて仕方がない」という内容。というわけで覗いてみました。

情報量が多すぎる!

まず、指摘のあったその問題のページは、JR東日本:ご意見・ご要望の受付です。当ブログからでは分かりにくいのですが、実は手前のページからポップアップウィンドウで開きます。また、お問い合わせするだけなのになぜこんなにも個人情報を入力しなければならないのか、という疑問も沸いてきます。
では、このポップアップウィンドウを開く手前のページはどこなのか。それがJR東日本:各種お問い合わせというページ。この一番下の「メールでのご意見・ご要望の受付」というリンク先がさきほどのポップアップウィンドウのページだということです。
でも、これだけだとそこまで問題ではないかもしれません。しかし、JR東日本:各種お問い合わせのページの上部に目を移すと、こんな目次が目につきます。「よくいただくお問い合わせ」
一方、ポップアップウィンドウのページにも「▼ご意見・ご要望を入力される前に以下のご案内をご確認ください。」という太字の項目があり、よくいただくお問い合わせと類似する内容があります。
その上、ポップアップウィンドウのページでは「メールでのお問い合わせ」とは直接は関係ない文章が延々と続きます。やれテレフォンセンターだ、やれご注意や。。。これではユーザがせっかくたどり着いたのに下手をすると「戻る」をクリックしてしまいそうです。

情報を重複させないページ構造に。

もう一度おさらいしておきます。視覚障害を持つスクリーンリーダーのユーザはほかのページからJR東日本:各種お問い合わせのページにやってきて、「よくいただくお問い合わせ」「インターネットで調べる」「電話でのお問い合わせ」「上記以外のご意見・ご要望」と聞かされて、ようやくメールのお問い合わせを発見できます。もちろん、これはこの最下部まで我慢強く音声を聞き忍んだユーザだけです(ホームページリーダーだと約2分ほどかかります)。
そして、ようやくメールを送れるのかと思うと、ポップアップウィンドウが開いた上、再度注意事項やよくある質問のような内容を読まされます。そしてメールにたどり着いたのもつかの間、次は不必要な項目がたくさんの入力フォームというわけです。
さきほどのMLでは「サイト構造を分かりにくくしてクレーマーの対策をしているのでは」という回答もあったくらいです。JR東日本もそのような考えを持っているのかもしれませんし、またはちゃんと強調したい情報を繰り替えし書きたかっただけかもしれません。ただ、最近の大手企業のサイトはこのようにお問い合わせをするのがすごく難しいというのは共通した特徴ではないかと思います。
情報を強調するために何度も繰り返すということはユーザにとって注意を喚起する一方で、ユーザの誰かにとってアクセシブルにはならない可能性があるということも気に留めてもらった方がよいかもしれません。