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10年後から現在を振り返ったときに最も重要なWebの出来事(日本語訳)

Vitamin Features » Back to the Future of the Webの日本語訳です。毎度のことながら、意訳、誤訳も多少なりともあるかもしれません。けれど、英語圏の人たちが今のWeb事情をどういうふうに把握しているのか、それを垣間見るのにはよいかもしれません。ちなみに、インタビュアーはGoogleの中の人であるAdam Howell氏です。




Webで今から10年後を振り返ったときに重要なこととは何だろうか?それを第一線で活躍するデザイナーやデベロッパー、起業家16人に聞いてみたので、彼らがどんなことを言っているのか聞いてもらいたい。


Future of Web Apps conferenceが数ヶ月前にあったのだけど、その時にCarson Systemsがヨーロッパの地方公演をするというので、第一線で活躍するデザイナーやデベロッパー、起業家が未来のWebについてどういうふうに考えているのかを聞くためのちょうどよい時間だと思った。


そこで、彼らにこんな質問をしてみた。
僕たちが10年後に現在を振り返ったときに、「これが本当に重要だった」、もしくは「Webの歴史においてこれが本当のターニングポイントだった」と思うような現在のWeb事情(会社やテクノロジー、動きなど)を1つあげてほしい。
これが彼らからの答えだ。


Greg Storey, Airbag Industries


ネットバブルが崩壊したあとも、Webのデザインや開発を続けてきた人たちがそのままネットに残り続け、ネットをプラットフォームとして新しいレベルに引き上げる方法を発見した。僕らが三年前を振り返ったときに、賢くて才能ある人たちが、Web技術を引っ張り上げ、伝統的なアプリケーションやメディアの代替ができるようになるまで成長させたんだ。それも、ウォールストリートやベンチャーキャピタリストの支援もなしにね。お金ではなくて、技術や才能こそがこれからの主役なんだと思う。


Geoffrey Grosenbach, TopFunky Corporation


ここ数年の最も大きな出来事は、Webの開発者たちがWebをAPIとして扱うようになってきたことだと思う。microformatsRSSAPI とかをプログラム的にリソースを共有する方法は、単にプログラマや起業家の生活を豊かにするだけではなく、エンドユーザも同じように豊かにすることができる。


Jeffrey Kalmikoff, SkinnyCorp


色んな人がWeb2.0を言い続けたことが面白おかしい、というのが僕が振り返るだろうことかな。僕の意見では、みんながWeb2.0を定義しようとするために多くの時間を使い続けているし、それに「対応した」プロジェクトもやってる。このことは、次に来るのが何かということを明らかにするのを遅らせてしまっている。Web2.0はサイトの機能というよりも、単なる流行だ、といったほうが的確なんだろう。できれば10年後に、僕らはWeb8.0くらいの世界から、今のこんな状況をせせら笑ってやりたい。


Dan Saffer, Adaptive Path


10年前、1997年に、ブロードバンド接続が立ち上がって、ネットへの接続は可能な限りよくなった。次の10年は、全ての携帯端末がWebと同じような環境になることだろう。iPhoneNOKIAのN95はその可能性をあらわにし始めたんだ。メタデータがくっ付いた物理的な場所というものをこれから見始めることになるだろうし、僕らのデバイスや携帯にも、急速に、そして地理的にも関連するデータを活用できる、そんな日は遠くないと思う。


Dylan Schiemann, Sitepen


オープンソースとユーザが作り出すコンテンツの広がりが大きな出来事だと思う。人々はもっと投稿したり、創作したり、消費ではない何かをやったりして、それがWebを作り出し、はたまたそれが人をより創造的にし、情熱を与え、最も楽しめることで生活できる、そんな世界に向かってるのだろう。


John Oxton


デザイナーの観点から言うと、グリッドやタイポグラフィを元にしたデザインが増えてきたことが1つのターニングポイントかな。もちろん、デザイナーによってより簡単に携帯端末にコンテンツを届けられるようになったという意味では、アップルの携帯端末に対するアプローチも同じくらい重要だと思う。


Thomas Fuchs, Wollzelle


2000年半ばに、単に情報を掲載した静的なWebサイトとデスクトップアプリケーションの解放があった。一番早く、もっとも最適なリソースをオンラインで提供することによって、今までよりも多くのアプリケーションやサービスを提供できるようにWebは育ってきた。いわゆる、「ソーシャルウェブ」は長い間僕らと一緒にいるだろう。注目すべき点は、これは技術にも影響し、ブラウザの専売特許を崩すかもしれないということだ。ここ何年間に来るようことだろうとは思うのだけど。


Larissa Meek, AgencyNet Interactive


10年後から今を振り返って、最も大きな出来事はYouTubeの誕生だろう。ユーザが作るビデオは世界をますます狭くし、誰しもに映画製作者の能力を与えるし、有名人になれる権利も与えられる。これは、Webに自分の人生を登場させることの危険性も、再度僕たちに思い出させることにもなる。


Michael McDerment, Freshbooks


APIと様々なアプリケーション間の接続が、ターニングポイントになるだろうと思う。その理由は、特に小さなビジネスマーケットにおいて、ユーザがWeb アプリケーションの最適なパーツを自分のニーズと照らし合わせて選び出し、自分の作業フローを効果的にデザインできるからだ。


Keith Robinson, Blue Flavor


最近までgetleaflets.comで働いていたから、少しばかり偏見があるかもしれないけど、iPhoneと最新のSafariの導入は、Webの大きな変化を引き起こすと思う。アメリカではユーザにも開発者にも携帯のWebの面白さを遂に分かってもらえただろうし、CSS3のサポートからブラウザをより標準にして、デスクトップのウェブを新しいレベルに持っていけると思う。数年後のいつかに、マルチブラウザやプラットフォーム、デバイスを通じて、本当の標準というものを見ることができるだろうし、世界中のものすごい数多くの人たちの手に、興味深いユーザ体験を引き起こすことができうるようになるだろう。


Garrett Dimon


僕たちはまだWebサービスやAPIにおいては「何かぎこちない10代の初頭」にいると思う。現時点では、テクノロジーに詳しい人たちは基本的な情報で色んなことができるし、マッシュアップや実験も演じることはできる、そんな目新しい場所の何者でもない。けれど、それらのAPIはいたるところにあるけれど、その可能性はもっとしっかりとした形になるだろうし、単なる目新しさという範囲からより実用的なビジネス志向のものに移り変わっていくだろう。アマゾンの販売サービスや機能、データをアプリケーションで抜けたり、サービスを使えるようにツールをシンプルに改善したり、どっちの方向に行ったとしても、Webはよりシームレスにダクトテープの代わりに相互につなぎ合い始めている。


Eric Meyer


microformatsだろう。今のこの形が10年続いても、もしくは新しいものが生まれたとしても、よりセマンティックなウェブをみんなに提供したいという思いは変わらないと思う。もしあなたがこの分野でどんなことが起こっているのかをユーザの視点から見たければ、FirefoxのOperator extensionをインストールして、いくつかのmicroformatsに対応してサイトに行ってみればいい。


Andy Budd, ClearLeft


僕が思う大きな変化は、会社がユーザのニーズに沿ったビジネスをする必要性を理解し始めたことだろう。ユーザに自分たちのビジネスモデルにあわせてもらうのはなくね。


Sean Madden, Frog Design


情報の集約においてもう少しまともなところに行けたらいいなと期待している。それは個人レベルでもそうだし、関連した商品一覧のようなシステムもそうだし。群集の智恵が提供するポイントとなる考え方は、集団に多様性がであり、独立しており、地方分権であり、それなりの一定数がいた時に、賢くなるというもの。インターネットは常にこの中の3つ目が強調されているのだけど、最近は私たちが群集を利口に見なすことを理解し始めているし、それらが力を持っていることもある。


Peter Nixey


僕に聞くなんて面白いじゃない。OpenIDのことだろう。もちろん公表するけど、今僕はアメリカのY-Combinatorにいて、うちの会社はOpenIDをより簡単にしようとしているわけだから。


Derek Powazek


10年後を今から振り返ったときに、最も大事だったことは、プリント。実際に触れられる紙媒体だと思う。Webは多くの新しい世代の書き手を作り出した。安いスクリーンやより早いブロードバンド環境がほしかったのかい?いや、毎日のように僕らがオンラインでやっていることは読んだり、書いたりしていることだ。その間に、紙のオンデマンドテクノロジーは毎日よりよく、より安くなってきた。僕らはデジタルな報道機関から伝統的な報道機関よりも、よりよい写真の複製品を手にすることができる。じゃあ、この環境下において、新しい世代の書き手たちが書くことの面白さを味わったあと、「本物」やプロになれるんだろうか?この点については、僕らはずっとWebの優位性を指摘し続けてきた。そして、それを何年も実践し続けてきた。しかし、紙媒体は永続性、権威、美しさにおいてWebに比べて優位性があるということも、僕らには分かっている。Webはテレビがラジオの代わりをやったようには、これ以上紙媒体に置き換わらないと思う。その代わり、どんどん新しいものとして変わり続けるとは思う。デジタルな効率性やオープンなアクセスというインターネットの子どもたちは、印刷物を再発明することになるだろう。変化はまだ始まったばかりだ。




自分で訳した文書を見直して、これよくわからん表現だなーと思う箇所もちょくちょくありますが、それは仕方ないとして。


とにもかくにも得たいの知れぬ日本語のブログしか持っていない僕に「feel free to translate it.」と言ってくれたAdam Howell氏には感謝、感謝です。