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1・2/50 「ウェブ進化論」+「グーグル Google」

非常にベタな本を、それも2冊も挙げてしまって全く恐縮なのですが。。。でも、本当に一昨日あたりに読み終えたので。


ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)


この2冊さえ読んでおけば、Webの世界の門外漢の人も、今のWebの現状を把握するには本当にぴったりな本だと思う。いやはや、名著である。


と、賛辞ばかりしていても、仕方がないので、いくつか気になった点を。

ロングテールの議論

「グーグル Google」では、ロングテールの議論として、駐車場とメッキ工場がうまくロングテールを活用して、うまくいったというのを例証にしている。


でも、ちょっと待ってくれ。それは、別にロングテールではなくて、今までずっと言いまわされてきたニッチ市場の開拓ってやつではないのか?確かに、2つのビジネスともGoogle AdSenseをうまく利用したモデルとはなるが、一般的に用いられるロングテールの定義とは異なる気がする。


また、ロングテールの議論には必ずと言っていいほど、Amazonの話がついてまわるが、Amazonがうまくいったからといって、ロングテールが新しいコンセプトとして定着するというのは言い過ぎではないか?


ロングテールには、恐竜の尻尾みたいなグラフがつきものだが、あのグラフは書籍では分からないが、それこそ何十キロとX軸があるからこそ、うまくいくのだと思う。確かに、Amazonのような在庫量を確保し、それを発送できる事業にすれば、ロングテールはかみ合うかもしれないが、普通にオンラインショッピングをしている中小企業やアフィリエイト主体の個人は、そんな何十キロにも及ぶ商品点数を確保し、その上管理する時間も労力もないのではないだろうか?

Googleのビジネスモデル

Google AdSenseは確かにすごいビジネスモデルだと思う。ただ、それをベースに無料サービスを拡大し、維持するというビジネスモデルが今後も継続的に実施するのは難しいのではないか?


Overtureを筆頭とした競合相手がどんどん出てきているのが1点。あと、常に疑問に思うのはGoogleが新しい無料サービスを投入した段階で、なぜうまくGoogle AdSenseを乗っけた上で、サービスを投入しないのだろうという疑問。本当に儲ける気があるのだろうか、と思うほど新しいサービスと収益性の確保のスピードにギャップがある。


また、Googleが狙っていると言われる「自分達が展開するサービス全てに広告を当てはめていく」というビジネスモデルは、リクルートやサイバーエージェントとほとんど変わらない気がする。もちろん、検索エンジンというWebの入り口を圧倒的な技術力で押さえているGoogleの優位性は高いと思うのだが。


ただ、それも今後何年かでGoogleを超す検索エンジンが出てくる可能性だってあるわけで。

Googleという存在への一般的な認識

個人的に一番これからネックになっていくと思うのは、Googleへの一般的な認識が未だ「検索エンジン」だということ。


GeekやHacker、ITに強い人からすると、Googleほど面白い、そして興味深いサービスを展開する企業はないと思うのだけど、それでもWebで普通に情報を調べ、たまに日記的なブログを書く、という程度のインターネット利用者には、Googleは単なる検索エンジンに過ぎない。


わざわざGoogleの色んなサービスを調べることもないだろうし、カレンダーは紙の手帳が一番と考えるだろうし、ニュースや路線検索は携帯かYahooで、といった人は多いと思う。(この状況がアメリカも一緒なのかは疑問だが。)


そういった人に、どうやって「Googleも色々できるんだぜ!」と伝えていくのかはかなり難しいのではないだろう。それが、Ajaxの技術だけで浸透するのかと言えば、甚だ疑問だ。


今から、Yahooなどの他のポータルサイトからの移行させるだけのアドバンテージを用意しないといけないわけだから。そう考えると、検索エンジンのみを提供するときのGoogleのトップページのシンプルさは非常に高評価だったけれど、今はむしろそれがディスアドバンテージになっている気もするのだ。