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TRANS

神戸のNPOやソーシャルビジネスの創業・起業のお手伝い

交通バリアフリー法、ハートビル法。でも、ちょっと違うんだよな。

東横インの問題もあって、世間の人は「ハートビル法」というのを耳にタコができるくらい、何度も聞いたんじゃないだろうか。ここで、ハートビル法について云々を書く気はない。ただ、障害を持つ人といろいろ行動してみて、「ハートビル法や交通バリアフリー法だけじゃ、何か足りてなくない?」みたいに思うようになってきた。


つい最近、電動車椅子に乗っている人ととあるNPOの交流会に出掛ける機会があった。前々から予定していたものではなく、その日偶然「一緒に行こうぜ」という話になった。それを決めた時に、僕の周りにはネットもなかったので、事前にその交流会会場のバリアフリー情報を調べる術はなかった。(大体、車椅子を利用する人たちと共に出掛ける時は、一通りはネットなどでバリアフリー情報は検索してみるのだが)


そこで、まず、その交流会会場の最寄り駅に電話。「そこって、エレベータとかついてます?」私鉄なのだが、答えは「いいえ」とのこと。仕方がなく、交流会会場から徒歩10分くらいの、少し遠くの駅へ電話してみる。こちらは、「はい、ありますよ」とのこと。


もちろん、会場そのもののバリアフリー情報も必要。ポイントは、特に入り口のアクセスとトイレの広さだ。しかし、「トイレは使えないですね」とのこと。「入り口は大丈夫だと思うのですが」という回答だった。(というより、なぜNPOという障害を持つ人にも一定の理解があるはずの団体が、こういったトイレしかないところを会場に選ぶのかが疑問。「どうせ、車椅子の人たちが来るはずはないさ」と思っているというより、「車椅子の人たちが会場に来る」という発想が出てこないのだと思う)


ここで、トイレというのが非常に大きなネックとなる。近くにトイレの位置が把握できないと、どうしても行動に制約が出る。ちょっとアルコールを飲もうにも、トイレに行けないかもしれないということで、飲むのに躊躇する。


トイレの問題は解消されなかったが、最悪「尿瓶」を使うという方法も考えられるので、行くことに中止はしない。近くにデパートショッピングセンターがあれば、大体多目的トイレはあるのだけど。この会場は割合田舎チックなところなので、そういうデカイ建物(要は、ハートビル法に認定されるようなところ)がないのである。


次は、今私達がいる場所から、最寄の駅を探す。ただし、最も近くの駅はエレベーターすらない駅だというのを経験上知っているし、その次に近くの駅は会場近くの駅に行くために、一度乗換えが必要だというのを分かっている。そのため、エレベーターがあり、且つ最寄の駅と同じ路線の一番遠い駅(徒歩20分)くらいの駅まで歩くこととなる。


いざ、行動。僕は原付を持ってきてしまっていたので、先に会場へ向かう。そして、会場に着いてから、まずは会場の入り口をチェック。10cmほどの段差がある。会場の担当者は「大丈夫ですよ」と言っていたのだが。。。どうしても、僕たち、健常者はこういう段差のことを普段気にしないので、大丈夫と思ってしまうことが多い。


それから、昼飯をどこかで食おうと言っていたので、近くの商店街をウロウロする。ポイントは、

  1. 入り口に段差がないこと
  2. 電動車椅子が通路を通れる十分なスペースがあること
  3. テーブルの椅子をのけて、テーブルの高さが丁度車椅子に座るその人の座高と同じくらいの高さになること(要は、流行のソファが置かれた店や和室は難しいということ)

結構大きな商店街だったのに、これらの条件に該当する店は、2,3件ってところ。


でも、飲食店を探すのに重要なほかの条件、「おいしいかどうか」「値段は手頃かどうか」は考えていない。実際にそこまで考えると、ほとんどの店は入れなくなってしまう。でも、普通健常者は「店に入れるどうか」なんて考えなくてすむじゃない。「おいしいか、値段は?」を考慮すればすむはずなのに。


車椅子の友人、駅へ到着。一緒に会場へ。交流会自体は割合楽しめた。トイレ自体はやはりなかったので、尿瓶を使ったけど。

街をトータルにバリアフリー化しないといけない。

何が言いたいのかということ、「単に交流会」に行く」だけなのに、これだけ色々な物事を考慮する必要が出てくるということ。確かに、交通バリアフリー法やハートビル法によって、障害を持つ人のアクセスはかなりよくなったと思う。(ただし、ショッピングセンターなどでは入り口は完全バリアフリー化されているのに、その中に入っている飲食店などのテナントの入り口は全て段差があったりするということもある。何がハートビルなのだろう?)


けれど、「どこかに行く」というアクセスの意味では、交通手段も必要だし、食事する店だって必要だし、トイレの位置も考えないといけない。


交通バリアフリー法やハートビル法はもちろん画期的な法律であるのだが、それは必要条件であり、十分条件ではないのだ。そういった意味では、交通やビルだけではなく、街の全体の空間をトータルにバリアフリー化するという試みがこれから必要になると思うのだ。


追伸:こういう議論の展開をすると、いろんな人たちが「いや、うちはもっと心のバリアフリーを進めたいんだ。スタッフが車椅子の人を見掛けたら、すぐに手伝えるような」と言う。でも、心のバリアフリー化も大事だけど、純粋にモノのバリアフリー化を進めれば解決できるような類のものであれば、まずはモノのバリアフリー化を進めるのが定石だと思うのだが。